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新年挨拶(年頭の職員訓示)

知事室タイトル

新年挨拶

(2008年1月4日 年頭の職員訓示)

(はじめに)

皆様、新年明けましておめでとうございます。

平成20年の年頭に当たり、ご挨拶を申し上げます。

<「改革『実効』」の年>

私たちは、「未来に広がる“やまがた”」創りのため、新たにスタートした平成17年に「改革『元年』」を高らかに宣言しました。そこでは、「時間」と「コスト」を軸に据え、新しい発想、スピード感、そして決断力を持って、聖域のない県政改革を進めることを誓い合いました。

そして、続く一昨年の平成18年には、「改革『断行』」との固い決意の下で、「PDCA型」政策遂行と、そのための「3F型」自律的組織経営に取組むことで、その改革を本格化させました。

さらに昨年は、「改革『深化』」と位置付け、改革の土台を強化・拡大しました。

そうした過程で、数多くの“いぶき”が芽生え、それが「かたち」になるのを見て取り、そして、そこに、①「おや、変わったな」と実感し始め、また②「やれば必ず出来る」と自信を持ちつつあります。

それらふたつの意味が、まさに、「手触り感」と言えましょう。

新しい年、平成20年は、これまでの改革の成果に対する「手触り感」を一段と高めるべく、取組みをさらに強化・継続する、「改革『実効』」の年といたしましょう。

すなわち、①これまでの取組みによる様々な“いぶき”を「かたち」として、さらに多く広く着実に積み上げるとともに、②「やれば必ず出来る」との自信を確信に繋げることであります。

とりわけ、次代を担う若者をひきつける施策を引き続き着実に推進し、「未来に広がる“やまがた”」の基礎をしっかりと固めることが肝要です。

<「県民『協創』」の年>

もう一つ、こうした改革「元年」・「断行」・「深化」、そして「実効」へとの取組みの中で、確実に変わってきたのは、主体間の多様な連携です。例えば、

① 自動車関連産業の面的展開や仙台空港アクセス鉄道への出資さらには東北観光推進機構設立など県境を越えた近隣県との連携、

② 県立日本海病院と市立酒田病院との統合再編への本格的取組みなど県と市町村との協働、さらには、

③ 子育て応援パスポート事業や男女イキイキ・子育て応援宣言企業事業など県民の主体的活動支援を軸に据えた、これまでにないサービス提供・享受主体の入替・連携、

等々に看て取ることが出来ます。

人口減少が加速する構造変化に対応し、「全員野球」型の社会づくりを進めていかなければならない中で、こうした県同士の連携、県と市町村、県民との協働にとどまらず、企業と県民、県民相互など、あらゆる分野における様々な力の組み合わせは、時代が求める、いわば、必然であります。

そうした「必然」を皆が感じ取るためにも、「手触り感」を一段と高める必要があります。

新しい年、平成20年は、この意味で、「県民『協創』」の年でもあります。

是非、県民の皆様が、県づくりや地域づくりにおいて、多様多彩な連携に積極的に加わっていただけるよう、取り組みをさらに拡げ、また強化いたしましょう。

(県政運営の基本方向)

このように、「改革『実効』・県民『協創』」と位置付ける新年を迎え、さらに、もうひとつ、大切なことがあります。

それは、人口減少が加速する中、格差感の高まりなどもあって、県民の皆様の間に漂っている漠然とした不安感、これを払拭しなければなりません。

ちなみに、「不満」は、その解消のための何らかの処方策を講ずることが出来る場合が多いのに対して、「不安」は、特定の施策を処方することのみで払拭することは出来ない場合が多いのではないでしょうか。

そこに政策運営の困難さが伴います。

従って、新しい年は、「脱・悲観論」を中心命題に据えて参りましょう。

すなわち、県民誰もが“やまがた”に住むことの「誇り」と、自分の力に対する「自信」を持ち、未来に「希望」を抱ける「ふるさと“やまがた”」の実現に向け、地域力、基盤力、経済力の「3つの力」を一段と高めること、であります。

<地域力>

「地域力」の分野については、やまがたに住むことに「誇り」を持つことが重要です。

そして、そのことが「経済力」の拡大、「基盤力」の強化の基礎となります。

山形のすばらしさを再発見し、資源として磨き上げ、次世代へと継承することを通じて、国内外に誇り得る魅力と活力に溢れる地域づくりを進めてまいりましょう。

<基盤力>

「基盤力」の分野については、人口減少が加速する中で、一人ひとりに、その持てる力を十分に引き出し、発揮してもらうことが大事です。

互いに心を通わせながら、一人ひとりの能力を引き出す教育を展開するとともに、活躍できる機会と場を提供し、そして、安心して力を発揮できる環境づくりに取組んでまいりましょう。

<経済力>

経済力」の分野については、「働きがいをもち『希望』を抱ける」よう、産業経済の拡大を図ることが必要です。経済のグローバル化の進展や地域間競争の高まりの中で、

① 企業相互、あるいは産学官の連携や、食分野における素材の新たな組み合わせなど、多様な連携により新たな価値を生み出す産業を育成する一方、

② 本県の持つ伝統の匠の技や食などの強みを活かし、地域に根ざした価値を磨き上げることにより、やまがたを牽引する確固たる産業群を創出・集積してまいりましょう。

繰り返しになりますが、これら「3つの力」を一段と高めるための取組みに当たっては、「県民『協創』」を基本に据え、出来るだけ多くの方々に、連携の輪(和)に加わっていただきましょう。

(構造的課題への問いかけ①:政策フレームワーク<県民との関係>)

ところで、この年末年始の間に、「平成19年度新世紀やまがた課題調査報告書」を丹念に見てみました。

そこで浮かび上がってきたのは、県政運営上、極めて重要な、根本に関わる、ふたつの事実であります。すなわち、

ひとつは、その手段において、①県民との継続的対話ルートが未確立であること、

そして、いまひとつは、その内容において、②県民が力を発揮する環境が未整備であること、であります。

<県民との継続的対話ルートが未確立>

まず、「県民との継続的対話ルートが未確立」との点については、例えば、県民の皆様から見て、県政に対する情報の発信手段として、電話やインターネット、県政直行便、出前知事室等を認識している方々は、10人中たった2人、という実態です。

ましてや、認識している方の中で、実際に意見をお寄せいただいている方はもっと少ないに違いありません。

他方、県民の皆様から見て、県政からの情報の受信源として、10人中7人までが「県民のあゆみ」である、という実態です。

それ自体は評価すべき面もあるものの、「県民のあゆみ」に掲載される情報については、その質・量のみならず、その範囲やタイムリー性などを勘案すると、極めて定性的であり、決して動態的ではないことは、ご存知の通りです。

このように、県と県民の皆様との間には、実は、情報の受・発信両面において、その手段やルートが確立されていない、従って継続的対話が、実は、十分に成り立っていない、ということがお分かりいただけると思います。

<県民が力を発揮する環境が未整備>

次に、「県民が力を発揮する環境が未整備」との点については、例えば、

① 男女共同参画社会の構築推進に当たって、県民の皆様は男女間の固定的な役割意識を10人中6人が持っていないにもかかわらず、逆に、仕事と育児の両立環境や結婚しやすい環境などの整備について、10人中7人が「未整備」と受け止めていること、

② 現状4人に一人が高齢者である我が県において、高齢化が一段と加速しているにもかかわらず、高齢者の知恵や経験を活かす環境や高齢者の除排雪支援の環境などの整備が10人中6人が「未整備」と受け止めていること、

③ 県民生活の根幹を成す、社会基盤や医療福祉、自主防災など、安全・安心面の環境について、10人中半数が「未整備」と受け止めていること、

などから、「県民の皆様が意識を持ちながら、また、時代が求めていながら、その力を発揮できる環境が未整備である」との実態を容易に読み取ることが出来るでしょう。

まさに、こうしたアンケート調査結果は、とりもなおさず、県民の皆様の県政に対する「手触り感」の現れそのもの、とも言えるのであります。

しかも、「県民との継続的対話ルート確立」や「県民が力を発揮する環境整備」は、各々が、県政の手段と目的であり、その本来業務そのものであります。

職員の皆さんは、日夜懸命のお仕事に取組んでいる、しかしながら、その手段と目的が未整備であっては、今求められている県民の皆様の「不安」払拭や、「公助」から「共助」・「自助」への社会転換も容易ならざることがお分かりいただけるでしょう。

(構造的課題への問いかけ②:政策遂行システム<県庁組織>)

もうひとつ、皆さんに問い掛けたいことがあります。

昨年顕現化した農業共済組合の不正引受の問題やトレーサビリティ(履歴管理)システム導入促進対策事業の問題を巡っては、その大きな原因の一つに「組織の弛緩」という点を指摘致しました。

この年末年始に、何故、県民の皆様のための政策遂行を担う県庁が、「組織の弛緩」を引き起こすのか、について、過去3年間を振り返りながら、考えてみたところです。

そこで思い当たったのは、政策遂行上、①責任の所在、②時間軸、③人材育成、の3点について、曖昧であり、気概に欠ける、ということであります。

極めて卑近な事例を申し上げます。例えば、

① 決裁書の押印数の多さに驚くことがしばしばですが、何故、「当該案件の責任者ライン」のみが押印し、決裁責任ライン以外の関係者に対しては写し配布で対応できないのでしょうか。

② 復命書や会議録などは、記録と意義・評価の双方を文書で残す意味合いがありますが、何故、少なくとも記録としては、「原則翌日提出・関係者配布」という「情報の旬」を重んじる組織カルチャーが根付いていないのでしょうか。

③ 「やまがた集中改革プラン」でも職員育成基本方針として「プロ意識の高い職員」を謳いながら、計数の誤りや文章等の錯誤が、日常茶飯に起きますが、何故、業務ラインの相互牽制・チェック態勢が機能していないのでしょうか。

山形県総合政策審議会委員でもある妹尾(せのお)堅(けん)一郎(いちろう)・東京大学教授が極めて示唆的な考え方を披露してくださっております。

すなわち、「成長」と「発展」の概念整理の中で、「成長=既存モデルの磨き上げ・生産性向上」、「発展=新規モデルの開発・不連続的移行」と定義づけ、

① 郵便小包の生産性向上により宅配便が生まれるわけではないことを事例に「既存モデルの改善は新規モデルの創出に繋がらない」とする一方、

② CDや携帯電話の普及でレコードやポケベルが駆逐された点を引合いに「既存モデルの懸命な改善によっても新規モデルの出現には及ばない」とします。

そして、「経営の失敗の多くが、既存モデルの磨き上げ(成長)か、新規モデルへの移行(発展)か、その判断を誤った場合である」と言うのです。

山形県庁には諸先輩の方々のご努力の積み重ねによって築かれたすばらしい伝統が残っています。

この間、地方分権型社会を目指し、地方政府としての「自律的『経営』」が問われる中で、政策推進システムとしての山形県庁にとって、特に①責任の所在、②時間軸、③人材育成、の徹底・確立が求められる今、必要なのは、

① 「成長」すなわち現在の県庁組織およびその伝統的カルチャーの効率化・高度化でしょうか、それとも

② 「発展」すなわち業務遂行ならびに人材育成・評価における、数多くの分野での全く新しい仕組みや仕掛けの導入・構築なのでしょうか。

少なくとも「意識改革」や「機運醸成」を唱えるだけでは不十分なのは確かでありましょう。

(若干の展望)

以上、①対県民の皆様との関係における政策フレームワーク、ならびに②対県庁組織における政策遂行システム、各々について、根源的とも思われる課題について申し上げました。

しかしながら、ここは、「脱・悲観論」、悲観することなかれ。

皆さん、日夜一所懸命に取組んでいながら、何故、アンケート調査結果に現れている県民の皆様の「手触り感」が生まれてこないのか、どうぞこの点に関する深い議論に着手し、そして、アクションプランならびに工程を定め、出来るものから直ちに実践していただきたいと思います。

「改革『実効』・県民『協創』」を掲げる新年をスタートに、政策運営上の手段と目的の整備に邁進し、今後、各項目において、「整備されている」と「手触り感」を抱く県民の皆様が過半となることを目指しましょう。

また、「組織の弛緩」の解消ならびに事前防止のためにも、少なくとも、①責任の所在、②時間軸、③人材育成、の3分野において、その徹底・確立を図るため、いかなる仕組みや仕掛けが最適なのか、部局各所において政策遂行上のモデルを模索し、皆さんで持ち寄り、議論を深めていただきたいと思います。

人づくりに王道なし。地方分権型社会における地方政府としての「自律的『経営』」が可能となるよう、強い信念と地道な継続により、新たな組織モデル構築を目指しましょう。

(おわりに)

最後に、3点ほど、ご提言・ご提案申し上げます。

<現場主義の徹底>

まずひとつは、「おもてなし」の本質とは、①手間をかけることをおしまないこと、そして、②本物であること、である由。

県民の皆様に対する行政サービス提供の本質も同様である、と思います。

そのためには、やはり、徹底して「現場」に出向くことではないでしょうか。

そこで、県民の皆様とご一緒に考え、行動し、悩みや喜びを分かち合う、そうした、文字通り「手間隙」を惜しまない姿勢こそが、県人の皆様を「説得」から「納得」へ導くことに繋がるものであり、また、県民の皆様に対して「本気」を示す最良の方策ではないでしょうか。

「真理は現場に宿る」のであります。

<財政再建への断固たる決意>

その上で、何よりも優先されるのは、財政再建であります。

それは、「子ども夢未来指向」の基本理念に忠実であればあるほど、「未来に広がる“やまがた”」実現のために、①「財政の中期展望」に掲げた数値目標、ならびに、「プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡」が重要となるからであります。

平成20年度は、断固たる決意を持って、財政改革を推し進めなければなりません。

その上で、なお、県民の皆様に、「誇り」と「自信」、そして「希望」を抱いていただく必要があります。

仏法に「無財(むざい)の七施(しちせ)」という教え、すなわち、財産がなくとも誰でも七つの喜びの種をまくことができる、という教えである由。

一つは、「眼施(げんせ)」:優しいまなざし

二つは、「和顔悦色施(わがんえつじきせ)」:笑顔で人に接する

三つは、「言辞施(げんじせ)」:温かい言葉

四つは、「身施(しんせ)」:自分の身体を使って人のために奉仕する

五つは、「心施(しんせ)」:思いやりの心を持つ

六つは、「床坐施(しょうざせ)」:自分の席を譲る

七つは、「房舎施(ぼうしゃせ)」:宿を貸す

事業再構築や県民の皆様に対する諸事ご説明の際などに、大いに参考にしたいものです。

<「県民歌『最上川』」ふたたび>

「脱・悲観論」を基本に据えながら、如何にして「改革『実効』・県民『協創』」の政策展開を図るか、については、大いに知恵を絞らなければなりません。

とりわけ、「地域力」、「基盤力」、「経済力」の「3つの力」は「県民の意思」との掛け算により生み出されるところの「県のチカラ」である、と定義し、引続き、「山形県人としての素晴らしさ」を「県民の意思」として実感し、大きな誇りと自信に繋げたいと思います。

それは、すなわち、「県民『協創』」の精神的支えとも言えるでしょう。

そこで、今、再び、「県民歌『最上川』」、そして、さらに「スポーツ県民歌」も併せて、教育現場を含め、県内各地で、多くのイベントの際に、歌われ、親しまれるよう、県民運動を展開いたしましょう。

この運動は、「県民『協創』」を形作るのみならず、「最上川の文化的景観」の世界遺産登録に向けた県民運動にも少なからず寄与するものと信ずるものであります。

職員の皆さん、そして、県民の皆様と、想いを一つにして、「未来に広がる“やまがた”」、そして、「百年後にも誇りに思えるふるさと“やまがた”」を目指し、この新しい平成20年も、ご一緒に取組みましょう。

どうぞ宜しくお願いいたします。



 

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  • 平成20年1月7日掲載