第3回山形県町村会総会
平成20年度第3回山形県町村会総会 知事祝辞
平成20年9月26日
本日の総会の開催、誠におめでとうございます。日頃から、それぞれの地域での御努力によって地域の活性化がなされていることに対してまして、感謝と敬意を表します。
今日は、県政運営全般と地方分権改革の大きく2つのお話を申し上げます。
まず、今後の県政運営につきまして、山形県、町村会の皆様の地域を巡る課題は誠に大きなものがあり、3つあると考えております。
1つ目は、御案内のとおり、原油や原材料の価格の国際的な高騰であります。
2つ目は、リーマンブラザーズの金融破たん等米国の金融問題がわが国、そして地方に影響を与えるのかどうか、米国金融問題の不透明さといことが問題になっていると思います。日本では、1990年代に金融のシステミック・リスクは起こさないということで積み上げてきたわけですが、今、正にそれが米国に求められているということであります。
3つ目は、中国の経済動向でありますが、オリンピック終了後のアジアの経済動向であります。もう少し端的に言えば、中国の政治、経済の動向についてと言った方がより的確ですが、それぞれの不安材料がありますので、これがわが国経済に及ぼす影響、県民生活に及ぼす影響がいかばかりのものかと思っています。
こうした意識のもとで、昨日の県議会の9月定例会の冒頭の知事説明の中で、緊急に対応を求められている課題に対する国の動向は不透明であり、少なくとも政策の立案はなされていません。これを待っていては、わが県の県民生活、県経済は守れません。そこで、我々として独自の政策を打ち立てようということで、9月補正予算を組んだところであり、銘打って、「緊急安心対策予算」であり、柱は3つ、農林水産業、中小企業・雇用対策、生活安全対策です。
とりわけ、農業の対策につきましては、先ほど申し上げましたような価格の高騰というか、原材料の価格、製造コスト増分を製品価格の転嫁できるような産業構造になっていないため、それだけに農家の方、農林水産業に携わる方々も塗炭の苦しみがあると思います。
しかし、これを単純に高騰分の補填策ということだけで留めて、カンフル剤的にやってしまうと、一見正しいようで、実はよくないということになります。なぜならば、この価格高騰分は一時的なものではなくて、しばらく続くものだというエコノミストの方々の意見があり、そこで、我々としては、構造転換を促すような支援策を持つということで、ハウス園芸であり、漁業の対策です。とりわけ、ハウス園芸については、たとえばペレットストーブを導入する際の支援策、化石燃料から別の燃料源に変えることによって、構造転換を促していこうとするものであります。
それから、水産業においても、魚価の低迷、コスト高ということになりますが、燃料の使い方についてリアルタイムで把握できるように、100隻に燃油計を付けていただくようなことも考えております。農業の中でも、畜産業について山形県は一生懸命ですが、畜産業、牛の肥育について、県内で完結できるように、飼料米も自前で生産できるように、そうした盛りだくさんの農林水産業の支援策があります。
次に、中小企業・雇用対策につきましては、商工業振興資金の拡充、融資枠の拡大であったり、条件の緩和であったりするわけですが、これもかなりしっかりとした補正で対策を打ったつもりであります。
次に、生活安心対策については、今、県内の市町村で行っている公立の小中学校の耐震化対策をより積極的に進めるため、耐震化診断、改修工事にあたって、国以上のより厚めのご支援を県としても行うこと、耐震診断、改修を、より進めて行こうということで、対策を推進する。県民の皆さんに安心感を持っていただけるようなことを緊急対策として仕掛けています。
そこで、先行きはどうなのかというと、「平成21年度県政運営の基本方向」は、実は3年前から、このタイミングで県議会の皆様に報告して、議会での御議論が終わった段階で、予算編成作業を10月の段階で行って、12月の頭には要求概要のかたちで、予算要求の状況をお示しして、最終的には皆様から御意見を頂戴し、2月に予算をまとめるというプロセスであります。そのために、このタイミングで次年度の「県政の基本方向」を打ち立て、21年度の県政運営の基本方向で、暮らしに直結する足下の課題に的確に対応し、県民の安心を確保する。これを一丁目一番地として掲げましたが、今申し上げましたような9月の大きな動きを来年度も継承しようというものです。ですから、大きな安心の確保が何をやるにもベースになるということです。
そして、これまでも申し上げているように、山形県の3つの力、基盤力、地域力、経済力、もちろん、経済力は産業振興、農業の総合産業化というのが入っていますが、基盤力というのは、正に人材、教育問題であります。地球温暖化防止などの環境問題も対策ということであります。地域力というのは、正にまちづくり、都市部、中山間地域を含めたまちづくりを、地域の活性化ということを念頭に行うものであります。この3つの力の相乗効果を持って、未来に広がるやまがたをつくっていこうとするものであります。
しかし、来年度、もうひとつ大きな観点があります。世界を見据えた総合的な交流戦略の展開であります。この安全安心がベースとなって、3つの力をこれまで以上に盛り上げて行こうという上に、もうひとつ上に、乗っかっているのが、世界を見据えた交流戦略の展開であり、これが何を意味しているのか、わが山形県は、人口減少社会の克服ということを強く意識しております。政策領域としては、あらゆる領域で世界を見据えた交流戦略を展開していこうとするものであります。
端的な例で申し上げると、農業のものが売れるかどうかは、数により、頭数、人の数であります。日本が人の数が減っているわけでございまして、これからは、所得とはあまり比例しませんから、景気が悪いからというよりもむしろ数に影響されます。どちらかと言えば、数を増やすしかない。少子化対策がんばりましょうということになりますが、これも短期的に効果が期待できるというものでもない。もっと増えている人口が多いところと取引をするということになります。
輸出ということであります。観光客も海外からたくさんおいでいただくこと、投資もできるだけ海外から持ってこられること、それぞれの地域が磨きをかけていくことが大切であります。そういう意味で、世界を見据えたというのは、人口減少社会を乗り切るための、ある意味では唯一の方策であると言っても過言ではないのではないのか。それぞれの地域で、農業の輸出ということで、これを単に試行的ということではなくて、やっぱり本格的にやっていかなければこれからの人口減少社会を生き残れないような農業県山形にしようというものです。
観光立国にしようとする場合、首都圏から来ていただいて喜んでいるようではオールジャパンとしてはゼロサムです。九州の方に来ていただいているのと同じことですから、やはり海外の方から多くの方に来ていただいて、出来るだけ多くの所得を落としていただきたいという願いであります。ものが増えないので、生産も増えませんが、生産が増えなければ利益も増えませんし、資本蓄積も行われないことになります。資本蓄積がなければ、次の将来の投資も生まれないことになります。こういう悪循環になりますので、魅力があれば海外からお金が入ってくる。上海はこの典型的な例になります。そういうことを見据えた世界戦略うたって、それぞれの地域で既に始めておられるような輸出関係などをより取り組まれるよう展望するものであります。
大きな2番目は、地方分権改革の話でありますが、私も専門委員として参画していますが、ほぼ毎週議論がなされております。
今の一次勧告が出て、議論されておりますので国の出先機関の見直しであり、二重行政の廃止、国から地方への移転、本省への吸収という大きく三つの流れでやっております。とりわけ、道路とか河川といった国土交通省がらみの話がより具体的になりました。
なぜならば、財源は交付金という形で、管理水準を下げないという前提で渡すということが3省合意されております。したがって、我々としては実践あるのみとなりますが、道路・河川の問題というものはそれぞれの地域で考えていくことになります。わが県でも、個々具体的に進めていくためには、それぞれの市や町の行政の首長さんをはじめ、地域住民の方のお話をよく聞いて進めていかなければならないと思っております。いずれにいたしましても、地方分権を進めるにあたっては、地方政府の確立を目指し、基礎的自治体が中心となってその役割を担うこと、というように位置づけられています。
今、県内で合併に向けた動きが大変進められておりまして、皆さんの御努力に感謝申し上げたいと思います。また、近々の合併は難しいとおっしゃっておられる向きもあるわけでございますが、かなりの覚悟を持って、そうした方向を打ち出されているものと思います。それぞれの住民の方々が、これからどう持続的に生活できるか、地域の持続性というものを意識していくか、これからの町や村の運営というものを考えていただきたいと存じます。
ご挨拶以上のものになってしまいましたが、そうした県政が抱える、それぞれの地域の皆さんが抱える課題というものは簡単に自分たちの力だけで乗り切れるものではありません。だからこそ、みんなで力を合わせて乗り越えなければならない時代でもあります。ぜひ、今日の総会が皆さんの力を合わせるという意味で、有意義な総会になりますように心からご祈念申し上げまして、ご挨拶に替えさせていただきたい。