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山王くらぶの傘福

いま、山形から・・・ 山形漫歩 山王くらぶの傘福(かさふく)(酒田市)
(平成28年3月4日掲載)

 江戸時代後期から、家族の幸せや子どもの成長を願い作った飾りを傘につるし、神社仏閣に奉納していた傘福。人々の想いを現代に受け継ぐ色鮮やかな酒田の傘福は、九州柳川のさげもん、伊豆稲取のつるし飾りとともに、日本三大つるし飾りに数えられています。

 

祈りの傘福

 酒田の傘福は平成17年、酒田商工会議所女性会が創立25周年の記念事業として取り組んだことに始まります。傘福は、布地を縫い合わせて作った細工物を紐でつるし、幕をめぐらした傘の内側に下げたものです。

酒田商工会議所女性会 会長 佐藤和子さん

 「私が子どもの頃、神社の中で片隅に三角形の細工物が古く色あせてつるされていたのを覚えております。その当時は細工物の意味も知りませんでした。その時代、傘福はあって当たり前で、生活の一部でもあり、地域や家族の拠り所でもあったと聞いております」と話す女性会の会長佐藤和子さん。

 いくつもの神社仏閣を巡っていくと、傘福に込められた人々の願いが分かっていきました。「昔は赤ん坊が小さいうちに亡くなってしまうことが珍しくありませんでした。食べ物にも苦労していた時代で、母親のお乳が出にくいこともあって、赤ちゃんに十分なお乳が出ますように、そして、子孫が繁栄しますようにと、女性たちは一針一針心を込めて縫いあげた細工物を、神社仏閣に奉納したそうです。はしかなどの病気が流行すれば、檀家が飾りを作って傘福につるし、病の退散を祈りました。また、戦時中は戦地へ行った方の無事を祈り、ヘルメットや日の丸、短刀などがつるされたり、細工物には地域色も反映されていたりと、時代や地域ごとの様々な想いと願いがを込められていたのですね」と佐藤さん。

三角:香袋。薬袋ともいう。医学が発達していない時代、三角の袋に入った薬はとても貴重なものでした。
ねずみ:子だくさんなねずみは子孫繁栄の象徴。働き者の意味もあります。
さるっこ:災いが去る、厄が去る、病が去るの意味。赤は魔除けや厄除けの力があるとされ、猿は女性の守り神ともされています。
おくるみ人形:可愛い子の健やかな成長への願い。

 

あたらしい「湊町酒田の傘福」のはじまり

 傘福には「宝づくし」と呼ばれる商売繁盛を願ったものもあります。江戸時代、北前船が盛んだった頃、酒田の豪商本間家三代当主光丘みつおかが、酒田のまちを活性化しようと京都の人形師に作らせた「亀笠鉾」という山車があります。そこには宝袋や鍵、軍配などの飾りがつるされ、酒田山王祭で町中を練り歩きました。商売繁盛の縁起物だけをつるす、きらびやかな「宝づくし」は商人の町酒田の繁栄を象徴しているようです。

宝袋:心が豊かに、お金に不自由しないようにという願い。
瓢箪ひょうたん:魔除け、厄除けなど。無病息災、商売繁盛の象徴。
999個をつるした「赤と緑の野点の傘福」。一対にして飾っています。

 酒田商工会議所女性会では200名の市民や県内の商工会議所女性会とも協力して、およそ6000個の飾りを作りました。それをつなぎ、酒田の傘福のはじまり「赤と緑の野点の傘福」ができました。「最初に作ったものは生地を持ち寄り、慣れない作業で形も様々ですが、携わった皆さんの想いがつまった大切なものです。1本の紐につるす飾りの数は奇数で、ひとつの傘福では合計999個となるように作られています。これは、東洋の奇数の文化(おおもとは割れないようにとの意味)にちなんでいます」と佐藤さんは取組みが始まった当時を振り返ります。

 

山王くらぶと傘福展示
山王くらぶ内の酒田商人の間。
傘福くらぶのスタッフが、ひとつひとつ手作業で作ります。

 かつては酒田の料亭文化を代表する料亭で、現在は国の登録有形文化財となっている「山王くらぶ」で傘福の展示が行われるようになりました。平成19年には女性会のサブ組織として、制作を担う「傘福くらぶ」を立ちあげ、展示用の傘福や、販売用の傘福などを作るようになりました。

傘福の展示会場。部屋全体が赤く染まり、華やかな雰囲気に包まれています。

 また、山王くらぶでは、傘福の制作体験もできます。傘福は常設展示のほか、お雛様の時期にあわせ特別展示を行っています。今年は申年にちなんだ「さるっこ」、さらなる飛躍を願う「うさぎ」などの新作もあります。

 今年酒田雛街道は20周年を迎えます。早春の酒田で古のお雛様と一緒に傘福をご堪能ください。

 

 

山王くらぶ 第11回傘福展示
湊町酒田の傘福
期間 平成28年5月21日(土)まで

 

取材協力・お問い合わせ

酒田商工会議所 tel.0234-22-9311 http://www.sakata-cci.or.jp/
酒田商工会議所 女性会 tel.0234-22-9311 http://www.sakata-cci.or.jp/bwc/
山王くらぶ tel.0234-22-0146 http://sannou.matizukuri.info/

 


 

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  • 平成28年3月4日掲載

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