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くじら餅

いま、山形から・・・ おらほの自慢 くじら餅(新庄・最上地域)

 山形新幹線つばさの始終着駅「新庄」。ここ新庄と周辺の最上地域で古くから伝わる郷土のお菓子に「くじら餅」があります。旧暦の桃の節句(4月3日)の時は、お雛様に雛菓子といっしょにくじら餅をお供えする習慣があり、みんなでくじら餅をいただきながら春の訪れをお祝いします。

くじら餅ってどんな餅?

 くじら餅の起源には諸説ありますが、今から約300年前、江戸時代の宝永年間の頃、新庄藩の第3代藩主戸沢正庸(まさつね)(1664年~1740年)の時代に兵糧食として用いられたのがはじまりで、新庄が発祥といわれています。また、江戸時代の朝鮮通信使の接待にも出された由緒あるお菓子とも伝えられています。

 くじら餅という名前から、鯨の肉が入っているものと誤解されることもあるようですが、鯨肉は入っていません。名前の由来は諸説あり、昔は今のものより大きく、蒸し上がったその大きさから、海のない最上地域では「鯨」を連想して「くじら餅」と名がついたという説や、保存がきくことから、久しく持つ良い餅「久持良餅くじらもち」となったとの説などがあるようです。

 

家庭の味を届けたい
ふるさと工房のみなさん。左端が組合長の松坂英明さん。

 新庄市街地より北に車で15分ほどの荻野地区に、荻野もち加工利用組合「ふるさと工房」があります。以前は、各家庭で作り、それぞれに違った味わいの郷土料理であったくじら餅ですが、最近は、会社勤めの人が増えたりしていることなどから、家庭では作られなくなったり、作り方がわからないという人が増えてきているといいます。そこで、昔ながらの家庭の味のくじら餅を届けたいと、平成7年に近所の4組のご夫婦ではじめたのが、「ふるさと工房」です。

 4組のご夫婦とも本業は農家であるため、ふるさと工房の営業は冬期間のみとなっています。10月から12月の間は餅をついて販売、お正月の後から旧暦の桃の節句の4月3日頃までの間はくじら餅を作って販売しています。くじら餅の材料でもあるもち米とうるち米は、自分達で作った米を使用します。

粉と砂糖を練り合わせる。練るコツはダマにならないように。通常は、容器いっぱいになるそうだが、撮影のために半分の量で作っていただいた。

 くじら餅を作る行程は、米をうるかす(水に浸す)ことからはじまり、4日間かかります。もち米とうるち米を1日うるかした後、1日干して、それを粉にします。粉と砂糖を練り合わせて、一晩おいてからふかして(蒸して)出来上がりです。

 もち米とうるち米の割合、砂糖の種類、それに醤油を入れるか塩を入れるか、また、その分量、くるみを入れるか等で各家庭の味が違ってくるそうです。

 
絶妙のコンビネーションでくじら餅が出来上がっていく。一連の行程を1日3回。ホカホカのくじら餅が出来上がる。

 最近は、作るのには手間がかかるなどの理由で購入して食べるのが一般的になっていますが、昔は旧暦の雛まつりに合わせて各家庭でくじら餅を作るのが普通で、近所でお互いのくじら餅を食べ比べたりするのも楽しみのひとつだったそうです。

 ふるさと工房のお父さん、お母さんたちの作るくじら餅は、昔ながらの完全手作りで、お母さんも力仕事をこなす体力勝負です。1月から毎日作って、地元のスーパーに出来立てほやほやの温かいままに出荷します。

3本セットのギフト用。

 種類は、黒砂糖味、赤砂糖味、白砂糖味の3種類で、地方発送も行っています。ギフト用には、食べ方といっしょにお母さんたちが一つずつ折った折り紙のお雛様とネコヤナギが入ります。折り紙のお雛様とネコヤナギを楽しみにしているお客様も多いそうです。

 旧の節句が近づくと、早朝3時半ころからくじら餅作りがはじまり、1日に300本もつくるそうです。「『美味しい』と言われて、また注文をいただけると、作っていて良かったと思う」と組合長の松坂英明さんは話します。

 事前に電話で確認すれば、ふるさと工房で直接購入もでき、出来上がりの時間に合わせて伺えば、温かいくじら餅をその場でいただくこともできます。

 

雛まつりとくじら餅

 明治23年の創業以来、くじら餅を作り販売しているのが、新庄市の中心商店街、大町(南本町)にある深田菓子舗です。現在は、お土産品としてもあちこちで買えるくじら餅ですが、各家庭の味だったくじら餅を商品として初めて販売したのが、ここ深田菓子舗だそうです。

深田菓子舗4代目社長の深田裕一さん。

 深田菓子舗では、年間を通してくじら餅を販売していますが、桃の節句の時期だけの限定販売として、2月下旬から通常の倍くらいの大きさのくじら餅を販売しています。

 お正月やお盆の時期にも需要が多くなるくじら餅だそうですが、やはり桃の節句の時期が一番で、特に地元のお客様からは「節句の時のくじら餅が一番うまいにゃー」と言われたり、また、「大きくてドーンとしてないとくじら餅じゃないべ」と大きいくじら餅が好まれるのだそうです。

深田菓子舗の店内に飾られるお雛様。お雛様のほかに大きなくじら餅、雛菓子、蒸し羊羹がお供えされる。

 江戸時代、最上川舟運により新庄にも京文化とともにお雛様がもたらされました。 深田菓子舗の4代目社長の深田裕一さん、奥様が子供の頃の昭和40年代の頃は、旧暦の桃の節句の時に子供達2,3人で綺麗な着物を着て、「こんにちは、お雛様見せてください」と家々を回る風習があったそうで、子供達はお雛様を見るよりも、家ごとに出されるお菓子やくじら餅が楽しみだったとか。

 現在は、毎年桃の節句の時期になると、「新庄まちなかひなめぐり」ということで、新庄市中心商店街の各所で気品あるお雛様を見て回ることができます。深田菓子舗でも、今年(平成26年)の4月1日~3日の間、江戸時代後期のお雛様が展示されます。

年間通して購入出来るくじら餅。黒砂糖、しょうゆ、白砂糖の3種、通常サイズ。

 くじら餅は、そのまま食べても美味しいのですが、堅くなってから焼いて食べるのもまた格別な美味しさがあります。

 新庄では、旧暦の桃の節句の頃に、堅くなったくじら餅を焼いた時の芳ばしい香りと味こそが「くじら餅の味」だと言う人もいます。

 古くから郷土に愛され続けているくじら餅。雪国の春を感じながら、ぜひ、味わってみてください。

 

取材協力・お問い合わせ (地方発送も出来ます)

萩野もち加工利用組合 ふるさと工房 新庄市大字萩野字仁田山2587-4 tel.0233-25-4771 fax.0233-25-4770
深田菓子舗 新庄市大町2-3 tel.0233-22-2131

 


 

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