JXサンフラワーズ 大神雄子選手

大神雄子選手 JXサンフラワーズ

バスケットボール女子の米プロリーグ、WNBAに所属するチーム「フェニックス・マーキュリー」のトライアウト(※)に合格。2008年には、日本人2人目となるWNBAプレイヤーとして活躍し、シーズンを通じて23試合に出場して総得点56点を記録した大神雄子選手。この春に3度目の挑戦をするも、残念ながら2年ぶりのWNBA復帰を果たすことは叶いませんでした。所属する「JXサンフラワーズ」の合宿で帰郷中の大神さんに、今後にかける思いをうかがいました。

(※)トライアウト:スポーツ競技チームに入団を希望する選手が関係者の前で能力をアピールし、契約を目指す場のこと。

バスケットとの出会い

「また、アメリカのWBNAでプレーしたい。挑戦で終わるのではなく、実際に試合に出て活躍したい」と大神さん。

生存競争が日本とは比較にならないほど厳しいアメリカ。それでも挑戦を続けるのは、自らを追い込むことで成長するため。

-元気で活発なイメージがありますが、小さい頃はどんな子ども時代だったんですか?

「バスケットに限らず、今も昔もカラダを動かすことが好きなんですよ。小5~中3ごろまでは父に連れられてゴルフの打ちっぱなしに行ったりもして、今は趣味としてゴルフを続けているくらい。声を出すのも好きで。小学校のときは運動会の組頭をしたり、中学校では運動会の応援団長をしたり。活発な子どもだったんです」

-バスケットを始めたきっかけを教えてください。

「父がアメリカにコーチ留学をした時に、家族全員で1年間ロサンジェルスに住んでいたんです。住んでいたアパートの近くにあるスポーツセンターのバスケット教室に通うようになって、土日は日本人学校のチームのゲームをこなしたりするように。本格的に始めたのは、小学校2年生の時です」

-アメリカで始めることになったのはどうして?

「バスケは、メジャーリーグ、NFL(アメリカンフットボールの米プロリーグ)と並んでアメリカの三大プロスポーツリーグのスポーツのひとつ。父が行っていた大学はUCLAという大学で、バスケの名門だったんです。大学に行けばプレーを見ることもできたし、TVでもNBA(北米のプロバスケットボールリーグ)の試合を放送をしているし、バスケがより身近な環境になったのが大きいかもしれません」

-大神さんが感じる、バスケットの魅力は?

「見て、魅せられた、というのが大きいかな。それに完璧にハマっちゃったんですね。特に、ダンクに魅せられて、当時は将来絶対ダンクやるんだ!って言ってました」

アメリカでのプレーを経験して

-アメリカで挑戦しようと思ったのはどうして?

「やっぱり、アメリカでバスケをはじめたのが大きいと思います。バスケット人生の原点があるから」

-アメリカに行ってみての感想を聞かせてください。

「日本よりもオンとオフがはっきりしてるし、試合前の雰囲気も日本とアメリカでは全然違います。日本では静かに精神統一をするような感じなんですけど、アメリカでは音楽を大きめのボリュームで流しているし、雰囲気になじむまでにちょっと苦労したかもしれません。『私は日本人だけど、ここは日本じゃない。壁を越えて行かなくちゃ』と言い聞かせて向かってました」

-特につらかったことは?

「アメリカでは、プロの中での生存競争が特に厳しい。毎日が勝負で、前の日に練習に参加していた選手が今日はいなくなっていた、というのを2年間のアメリカ生活ではたくさん見てきました。私自身がそういう立場になって、はじめて気持ちがわかった部分もあります。そういう厳しい環境に身を置くことが、いまの私に必要だと思って」

-バスケ以外で苦労したことは?

「言葉や文化、環境とか、日本とは違う部分に慣れるのに苦労しました。日本を離れてみて、プレー以外の部分で超えなくちゃいけない課題があることに気づきました。英語のヒアリングにも1年目は苦労したけど、同じような言葉の苦労を知っている選手がいて、気を遣ってくれて話してくれました。チームメイトのやさしさには感謝してますね」

チャンスがあったら、どんどん仕掛けて積極的にゴールを狙っていくのが持ち味。

ポジションはPG(ポイントガード)で、いわゆる「司令塔」。視野の広さ、ドリブルやパスに長けた選手が適任。

今後に向けて

-今後もWNBAへの挑戦は続けるんですか?

「もちろん!日本のバスケを強くするには、殻を打ち破らなくちゃいけない。私が経験したことを後に続く選手に伝えたいし、自分自身を追求するひとつのパワーになるんじゃないかと思っているんです。カラダの続く限り、とことん極めたいと思っています」

-今後の抱負を聞かせてください。

「世界選手権やオリンピックも大きな目標ではあるけれど、私にとってはあくまで通過点。ひとりのバスケット選手として追い求めるのは、WNBAかなって思ってます。まずは、今年の世界選手権で活躍すること。それがマーキュリーに『なんで(私を)残しておかなかったんだ』と思わせられる、またとないチャンスですから。もちろん、在籍しているJXサンフラワーズの連覇という目標もあります。立ち止まっているヒマはありません」

「シン」こと大神選手のプレーには、相手チームの観客のハートをも引きつける魅力が。

-子どもたちに何かメッセージをお願いします。

「私自身は、山形がバスケット王国の仲間入りを果たしたと言っていいと思うんです。このところ、中学、高校と山形県が全国大会で結果を残していますよね。私自身も刺激を受けているし、バスケを楽しみながらがんばってほしいです。ポジティブシンキングで、プレーでもアピールできるように、一瞬一瞬を大切にしていきたいですね。ご声援をよろしくお願いします」

自然とプレーを目で追ってしまう、応援したくなるのが彼女の魅力。高校から地元を離れ、実業団、アメリカ女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)と、より高い目標へ向かって努力をし続ける大神雄子さん。身長170センチとバスケットの世界では小柄なほうではあるものの、コートに立つ存在感には圧倒されます。この春、3度目のアメリカ挑戦では残念ながら雪辱を果たせなかったものの、彼女を見ていると挑戦すること自体も楽しんでいるかのよう。失敗してもへこたれない、つねに上を目指す前向きな強い気持ちが原動力になっている。といえるかもしれません。

大神雄子

【PROFILE】

大神雄子 Yuko Ohga

昭和57(1982)年10月17日生まれ、山形市出身。ポジションはPG(ポイントガード)。山形一中では、中学3年生のときに全中で準優勝。
高校バスケット界の名門・名古屋短大附高(現・桜花学園高)を経て、2001年にジャパンエナジー入り。日本女子バスケットボール界で初のプロバスケットボールプレイヤー。2008年5月には日本人2人目となるWNBAプレイヤーとして、シーズンを通じて23試合に出場した。気迫あふれるプレースタイルと気取らない性格で人気を集める。



 

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  • 2010-8-18 公開

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