沖田なす&鵜渡川原きゅうり

いま、山形から・・・ やまがた伝統野菜 漬けて美味しい夏の伝統野菜 庄内地域 「沖田なす&鵜渡川原きゅうり」

 山形には、確認されている在来作物(伝統野菜)が150種類以上もあるといわれています。栽培地域で、大切に守り、育てられている伝統野菜と農家の方々の想いをご紹介します。庄内地域には、ただちゃ豆や温海かぶなど、県内外で人気のある伝統野菜がありますが、まだあまり知られていないながら、地域の中で受け継がれてきた美味しい伝統野菜があります。

沖田つながりの美味しい「沖田なす」
皮が軟らかく、ちっちゃくて、まるっこい沖田なす。

 山形自動車道庄内あさひIC下車1分、国道112号線沿いに、四季折々に旬の味を楽しめる「産直あさひ・グー」があります。店内には、生産者から持ち込まれた新鮮な野菜や加工品が並びます。中でも人気なのが「沖田なす」。9時のオープン時にはいっぱいあった沖田なすが、午前中には売り切れてまうこともあります。

  皮が薄く軟らかい沖田なすは、一度食べたらたちまちファンになってしまうほど美味しい、ちっちゃくて、まるっこいなすです。収穫時期は、6月半ばから10月半ば頃までで、一番の最盛期は8月です。暑い時期には一夜漬けが、また、涼しくなるとしょっぱく漬ける置き漬けが好まれます。

産直あさひ・グーの沖田なすのスペース。袋には生産者の名前が貼ってある。なすの大きさにより、100円から300円。

  沖田なすは、南陽市の沖田与太郎氏が約50年前に種子を入手して栽培したのが始まりとされています。置賜地方から庄内に伝わったなす、その品質を保つために、旧朝日村、現在の鶴岡市にある沖田という集落の一軒の農家が苗をつくっています。偶然にも「沖田」つながりのなすは、「沖田なす部会」生産者の皆さんが、徹底管理をしているだけでなく、栽培している場所を見回るなど、部会として品質管理を行い、大切に守っています。

 

大変な苦労の先には喜ぶお客様がいる
組合長 佐藤文一さん。佐藤さんの畑でインタビュー。沖田なすは連作ができないため、2年ほどで場所をかえていく。

 沖田なすの生産者であり、産直あさひ・グー組合長の佐藤文一さんは、毎朝、5時頃から奥様と2人で2時間から3時間かけて収穫し、直売所(産直あさひ・グー)に持っていきます。薄皮のなすはほかにもありますが、沖田なすが一番薄く、軟らかいといわれているそうです。そのため、ご年配の方でも丸かじりで食べられると、大変喜ばれているそうです。

管理に手間ひまがかかる。トゲがあるので厚手の手袋で収穫。

  その最大の特徴である、皮が薄く軟らかいために、風が吹いて、実に葉っぱが触れたところから傷んだり、枝が折れやすく、病気に弱いなど、栽培していくうえでさまざまな管理が必要です。一番気をつけているのは、害虫防除と水の管理で、天候に合わせた水やりは欠かせません。なすの94パーセントは水分でできているそうで、水が少なくなると皮が固くなってしまいます。水分の状態は花を見ればわかると佐藤さんはいいます。また、沖田なすは連作がきかないので、土作りも大切です。

こんなにもか弱く、箱入り娘のように大切に育て、ひとつひとつ実の具合を確認しながら、毎朝もぎとっていきますが、沖田なすは、トゲが強くなかなか素手では触れません。そんなに大変な苦労をしても、待っていてくれるお客さんがいて、喜んでくれるから大事に育てているそうです。

 

照子店長のうまい一夜漬け
店長 佐藤照子さん。いつもなすを8kgも漬ける。
佐藤照子さんの一夜漬け。朝取りを毎日漬ける。

 生産者であり、産直あさひ・グー店長の佐藤照子さんは、毎朝もぎたての沖田なすを一夜漬けにして店頭に出しています。前日の夕方に、塩、砂糖、みょうばんを煮立て、冷ましたタレによく洗ったなすを漬けます。浅漬けが一番美味しく漬かるのは12時間と佐藤さんはいいます。塩や砂糖の加減はその家庭でさまざま、ビールや焼酎で漬ける方もいるそうです。産直あさひ・グーでは、生なすも販売しているので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

酒田の「めっちぇこきゅうり」鵜渡川原きゅうり
鵜渡川原きゅうり。めっちぇこきゅうりで商標登録。
ミセスみずほの会 会長 新関喜美子さん(左)、阿部裕子さん

  酒田市亀ケ崎地区のみで栽培されている「鵜渡川原きゅうり」があります。ずんくりむっくりした小さい鵜渡川原きゅうりは、江戸時代にシベリアから渡来したと伝えられており、生食よりも漬け物に合うきゅうりです。収穫時期は、6月末から8月上旬まで。この伝統野菜を守るために、平成3年に酒田の生産農家で「ミセスみずほの会」を結成しました。きっかけは、「地域に古くから伝わるこのきゅうりを何とか後世に残したい!」との思いからです。

  鵜渡川原きゅうりは、果肉がとても緻密にできていて、普通のきゅうりと食感がぜんぜん違います。また、独特の苦味も特徴のひとつです。加工は、浅漬けやビール漬け、粕漬けなどが主流でした。平成19年からは、これまでと違った年齢層にも口にしてもらおうと、ピクルスづくりに挑戦。平成22年度からは「めっちぇこきゅうりのピクルス」の商標で販売しています。なぜ、ピクルスかというと、若者の食生活の洋風化と子どもの頃からドレッシングに慣れているために、酢の酸味に抵抗なく食べてもらえるだろうとの理由からだそうです。

めっちぇこきゅうりのピクルス。一つ一つすべて手作業。

ピクルス用には、5cmくらいのものを毎朝収穫。ミセスみずほの会のメンバーが毎日休みなしでてんてこ舞いになりながら、2度漬け、袋詰めとすべて手作業で行っています。

「収穫量、加工量を増やして、年間を通して鵜渡川原きゅうりを提供できるようにしたい」とミセスみずほの会の会長の新関喜美子さんと阿部裕子さんはとても意欲的です。

昔は、この地区のほとんどの家で広く植えていたという鵜渡川原きゅうり。今は、栽培が大変で、生産者も少なくなり、後継者がみつからないことが心配の種でもあります。「でも、いいものであれば、きっと伝わるはず」と笑顔の2人。雨の日、風の日、どんなに暑い日でも休みなく、作業は大変ではあっても、一番の喜びはグループで楽しみながらピクルスをつくり、美味しいといってもらえること。「めっちぇこきゅうりのピクルス」は、酒田市の「みどりの里山居館」、「山居倉庫-酒田夢の倶楽-」などで購入できます。

お問合わせ・取材協力
産直あさひ・グー Tel:0235-58-1455
ミセスみずほの会 Tel:0234-22-1239
山形県庄内総合支庁産業経済企画課 「食の都庄内」 Tel:0235-66-4723


 

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