本山 慈恩寺
緑が生い茂る木々の中、その歴史を物語るかのように寒河江市に厳かにたたずむ、「本山 慈恩寺」。今年(平成26年)、山形デスティネーションキャンペーン特別企画として、秘仏御開帳が7月21日(月・祝)まで行われています。

JR寒河江駅より車で約12分。寒河江川を渡り、坂道を登って行くと、虫の声や鳥のさえずりが聞こえてくる木々の間に、現在は3か院17坊からなる一山寺院、「本山 慈恩寺」があります。
天平18(746)年に、聖武天皇の勅命により、インド僧
開山以来約1,300年、積み重ねられた歴史の中で数々の文化財が残されており、平安末期から鎌倉中期にかけて作られた仏像など、国指定重要文化財も多数あります。
また、今年(平成26年)6月には、文化審議会が「慈恩寺旧境内」を新たに国の史跡に指定するよう文部科学相に答申しました。
慈恩寺旧境内は本堂や三重塔、山門など現在の境内に加え、周辺に築かれた中世城館祉群、修験場跡などを含む一帯で、日本の仏教信仰の歴史を知ることができる極めて重要な文化財だと評価されました。
今回の秘仏御開帳は、平成4年以来、今世紀初。御本尊をはじめ、普段は公開されていない数々の秘仏が本堂、三重塔、薬師堂で公開されています。
本堂に入り、少し奥に足を進めていくと迎えてくれるのが、慈恩寺の御本尊となる弥勒菩薩坐像。国指定重要文化財です。鎌倉時代後期に作られた仏像と言われていますが、陽の光を遮り、ろうそくや線香の煙による劣化から守られ、建物の奥にずっと眠るように保管されていたため、唇の朱色や眉の墨などは作られた当時のままです。700年以上の時代を越えて、当時の職人の技術や仏像への想いを間近に見て感じることができます。
御本尊である未来仏の弥勒菩薩の
慈恩寺では、仏像が美術館のように展示されているのではなく、素のままそれぞれの場所に安置されています。そのため、どのタイミングで公開することが仏像に負担がかからないか、東北芸術工科大学の文化財保存修復研究センターと話し合い、今この時期と決めたのだそうです。
「仏像はあくまで信仰の対象だと思っています。だから“美術品”としてガラスケースの中に閉じ込めたくはないのです」と管長代行の布施智典さん。「手で直接触れたり、カメラや携帯電話などでの撮影はご遠慮いただきたいですが、『仏像の正しい見方』というのはありません。どのような見方をするのかは、人それぞれ。美術品として鑑賞する人もいれば、心のよりどころとしている人もいます。どのようなきっかけであっても、ここに来て拝観することで、何か得られるものがあるのではないでしょうか」。精巧に作られた仏像をじっくりと見る人、仏像の前でずっと拝んでいる人。御開帳に訪れた方は、自分の気持ちの赴くままに仏像と
慈恩寺と言えば、若返り祈願の寺院としても知られています。御開帳期間中は本堂入口に置かれている
鉢自体も、細部の装飾や全体のバランスが素晴らしく、この時代にそれだけの技術をもった鋳物師がいたことにも驚きます。祈願のために鉢の中ばかりを見てしまいますが、ぜひ外側もじっくりと見てください。
せっかく慈恩寺まで足をのばしたのなら、その周辺も楽しんでみてはいかがでしょう。慈恩寺の裏手を登って行くと、寒河江市内を一望できる展望台があります。時の権力者たちや慈恩寺で修行をしていた僧たちも、もしかしたら同じ景色を見てきたのかもしれません。そう思うと、秘仏で感じた過去と現在のつながりが、より深く身体に染み込んでいくような気がします。また、近くを流れる田沢川には、6月中旬から7月中旬頃にかけてホタルが舞うなど、見どころがたくさんあります。
御開帳は7月21日までですが、それ以外の季節にもぜひ訪れてみてください。秋は、彼岸花が咲き乱れ、冬、雪の中に佇む本堂は今の時期とはまた違った趣があります。また、毎年5月5日に行われる「一切経会 慈恩寺舞楽(国指定重要無形民俗文化財「林家舞楽」)」などの伝統行事も、例年賑わいをみせています。
時代を越える遥かな旅へ、お出かけください。
平成26年6月1日(日)~7月21日(月・祝) 8時30分~16時(受付終了) 拝観料 一般:800円
・本山慈恩寺寺務所 tel 0237-87-3993
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