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米、酒、そば、くだもの、おいしいものを挙げればきりがない山形名物。意外なところでは、「山形のラーメンはうまい」との定評もある。県外からわざわざラーメンを食べるためだけに山形を訪れるお客も少なくない。しかしながら、「そんなにおいしい山形ラーメンってどんな味?」と聞かれると答えに窮してしまう。 県民性、お国柄という言葉があるが、山形県の場合、県でひとくくりにはしがたいほどに置賜・村山・最上・庄内という地域間の個性が豊かである。ラーメンもそのひとつで、それぞれの地域自慢のラーメンがあって、どの味をもって「山形ラーメン」とは限定しがたいのだ。 今回の特集では、そんな個性と主張にあふれた山形のラーメンを求めて県内縦断を敢行。それぞれの地域を代表するラーメン店を訪ねて、一杯のラーメンに秘められたさまざまな思いや歴史にスポットをあててみた。 |
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| 鶏の臓物7~8カ所を前日に煮込んで一晩味をしみ込ませたトリモツ煮。 |
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| あっさり味のしょうゆラーメンにじっくり煮込んだトリモツ煮をトッピング。 |
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| 新庄市の街中を少し離れると神室山系を望むのどかな田園地帯が……。 |
地元新庄では、3~40年前から食されていたという「とりもつラーメン」が、全国的に脚光を浴びるようになったのはここ数年のこと。そもそもラーメンとトリモツ煮という意外な組み合わせの馴れ初めは?そのおいしさのほどは?その真相を求めて「愛をとりもつラーメンの会」の事務局にもなっている「梅屋」を訪れました。ご主人の話によると、トリモツ煮とラーメンの組み合わせは地元新庄では意外でもなんでもなく、結ばれるべくして結ばれた許嫁のようなものだったというのです。
養鶏が盛んだった新庄では、大切なお客さまを迎える日には必ずといっていいほど鶏一羽をさばいてさまざまな料理にしてもてなしたといいます。トリモツ煮もその一品で、食堂や居酒屋といった飲食店においても欠かせない一品だったのだそうです。ラーメン屋さんにもサイドメニューとしてしっかりトリモツ煮があって、ある時、お客さんがラーメンにトリモツ煮をトッピングして食べたのだそうです。今でこそ「とりもつラーメン」が新庄ラーメンの代名詞のようになっていますが、当時の 新庄ラーメンはあっさりとしたしょう油味、トリモツ煮のまったり感がコクとなって絶妙な味わいに。あまりのおいしさにその食べ方が定番となり、「とりもつラーメン」として定着していったのだそうです。
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| 厨房の様子が見渡せる開放感のある明るい店内。 |
その後はずっと地元の人々だけの密かな楽しみとして食されていたのですが、この独特の食文化を発信しない手はないと、新庄駅の駅長さん等のバックアップもあって、市内のラーメン店15軒が合同でピーアール活動を展開。「愛をとりもつラーメン」というキャッチコピーのユニークさも手伝って、みるみる全国区のご当地ラーメンとなっていったのです。でも、一口に「とりもつラーメン」といってもそのおいしさは15軒15様。材料やレシピを統一しているわけではないので店主それぞれの主張やこだわりが味に現れて食べ比べも楽しめます。
「梅屋」は開店8年目という新しいお店ながら、ご主人が脱サラしてラーメン屋を開いたほどのラーメン好きとあって味へのこだわりは半端ではありません。麺は自家製の手もみちぢれ麺、鶏ガラ、とんこつ、野菜を合わせたしょう油味のあっさりスープ。鶏の臓物7~8カ所をくつくつ煮込んで冷蔵庫で一晩味をしみ込ませたトリモツ煮をトッピングするとクセがなくそれでいてコクのある極上「とりもつラーメン」の出来上がり。
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| あっさりスープにトリモツ煮のコクと独特の旨味がしみていきます。 |
今ではお客さんの8割方がとりもつラーメンを注文するほど。クセがありそうと最初は尻込みしていた人も、意外なほどにあっさりとした旨味たっぷりスープを一度口にすると病みつきになってしまうのだそうです。今日も「愛をとりもつラーメン」の黄色いのぼりを目印においしい幸せを求めてたくさんの人々が訪れることでしょう。
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