古民家ならではの古き良きものを活かし、
新しい暮らしを取り入れながら、次代へと伝える

<Data>
◎家族構成:6人 ◎築年月:約200~300年 ◎施工面積:164.86㎡ ◎工事期間:5ヶ月 ◎工事費:1,661万円(税別)
◎補助金等:平成27年度 山形市住宅リフォーム総合支援事業 県市補助

<リフォームプラン>
・建物の歴史を守り次世代に引き継ぐ住まいに改造
・現代風なLDKを設け2世帯が楽しく集える空間を創出
・団らん空間を暖かく快適なゾーンに改修
・リフォーム前の家と同様に自然素材を使用
・若い世代が住む蔵座敷を明るく開放的な居室に

リフォーム後 ― After

築200年以上の古民家の姿を残しながら現代生活にあった快適な家にしたい。そんな施主の希望を叶えるべく、家本来の良さを活かしながら母屋の一部と座敷蔵をリフォームした。母屋は1階の和室2室を改造し、対面式オープンキッチンを取り入れて現代風のLDKにした。壁、天井、床に断熱材を施して快適性を向上。床は無垢材、壁は漆喰で改修し、昔の匠の知恵が凝縮された梁や柱、基礎等の構造はそのまま継承した。また、玄関に土間を再現し、近隣の人と気軽に交流することの楽しさを現代生活に甦らせている。

隣接する座敷蔵は若夫婦の居室に改造。1階は間仕切りを取り払い1ルームに。天井を一部吹き抜けにしながら開放感を生み出している。床には断熱材を施したが、調湿性と蓄熱性にすぐれた土壁による蔵本来の「断熱仕様」はそのまま活かした。
古民家の柱や梁、壁などには、その一つひとつに歴史があり、存在の意味がある。無計画に改修することで建物の良さや機能を削いでしまう。先人の技に注視しながら、繊細かつ大胆に工事は進められ、次代へと引き継がれていく邸に生まれ変わった。

<リフォームポイント>
・古民家の持つすぐれた住宅性能を活かしながら改造
・断熱区画と暖房区画を分けてコストに配慮した断熱改修を実施
・引戸に従来の建具類を流用し深い味わいの空間が完成
・蔵座敷の1階から2階へ暖気を流入させる吹き抜けと床ガラリを設置
・近隣とのコミュニケーションづくりのため土間を設置

リフォーム前 ― Before

施主の声

代々受け継がれて家を守ることが私の役割ともいえますが、家族が集まる茶の間などがとても寒くて使い勝手も悪く、何かと不便でした。改修されたリビングはとても暖かくて快適です。離れた場所にあった台所をリビングに隣接することで、家族と会話をしながら料理ができ、また、家事動線も短くなってラク、と女性陣に好評です。昔の建具や構造を上手に活かしながら、住みやすく快適で美しい住まいにしていただきました。


<取材協力/資料提供>設計/株式会社 金内勝彦設計工房  施工/古民家ライフ株式会社