更新日:2020年9月28日

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羽根沢温泉

いま、山形から・・・ 温泉王国やまがた とろりとしたお湯が魅力の鄙びた温泉地 羽根沢温泉(鮭川村)(JPG:150KB)

(平成28年11月4日掲載)

新庄市から車で30分ほど行った自然豊かな山あいに位置する「羽根沢温泉」。入ると肌がツルツルになる温泉は、別名「美人の湯」とも称され、地元の方はもちろん、遠方の温泉好きも訪れる、知る人ぞ知る温泉地です。

はじめて物語

藩政時代、当地の住民が新庄藩の藩主に鷹の羽根を献上したことが地名の由来と伝わる羽根沢。大正8年(1919年)、この地で石油を求めて試掘が始まりました。

羽根沢温泉(JPG:117KB)

静かな山あいにある羽根沢温泉

開湯当時の源泉(JPG:106KB)

勢いよくお湯が噴出している開湯当時の源泉

残念ながら石油採掘は事業化に至りませんでしたが、試掘開始の2年後には多量の温泉が湧き出しました。地元に住んでいた現在の加登屋旅館の初代館主が採掘権を取得し温泉宿をはじめたのが羽根沢温泉の始まりです。

その後、温泉の規模は徐々に大きくなり、最盛期の昭和50年代には温泉宿が5軒まで増え、小さな温泉地に観光バスが8台も乗りつけ、朝市が開かれるなどの賑わいをみせたそうです。

このあたりでは、「丑湯治(うしとうじ)」といい、土用の丑の日に温泉に入る習慣が残されており、温泉が暮らし中に根づいていたことが窺えます。源泉や共同浴場の管理などを地域住民で行っており、地域の集会場と共同浴場が同じ建物になっていたり、近くの祠には湯神様が祀られているなど、90年以上に渡り地域の方々が大切に守ってきた温泉地だということがわかります。

湯神様を祀った祠(JPG:102KB)

共同浴場のそばにある湯神様を祀った祠

「美人の湯」&県内ではめずらしい間欠泉

羽根沢温泉はぬめりを感じる不思議なお湯で、入ると肌がツルツルになることから「美人の湯」といわれています。泉質は弱アルカリ性の含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、色は無色透明。効能としては胃腸病、疲労回復、創傷、火傷、慢性皮膚疾患、婦人病、神経痛、リュウマチなどに良いとされています。

元木洋典さん(JPG:72KB)

羽根沢温泉 ホテル紅葉館の元木洋典さん

羽根沢温泉の特色について伺った、羽根沢温泉旅館組合代表をつとめる「ホテル紅葉館」の元木洋典さんは、「羽根沢温泉は湯ざめしにくく、新庄市内から来られる方は、車で30分ほどかかって家に帰り着いても体が温かいままだ、といいます。また、刺激の少ないお湯なので、お子さんがあせもになったからと連れてこられる方も多くいらっしゃいますし、ケガをしたときに入ると治りが早い、とおっしゃる方もいます。」と話してくれました。

とろりとして柔らかい感触の「美人の湯」には、リピーターも多く、公衆浴場には月に500~600人、宿泊施設も含めると、月1,000人ほどが訪れます。昔は湯治目的の地元最上地域の方が多かったのですが、最近ではホームページやブログ等を見て、珍しい泉質に興味を持った温泉愛好家の方々が、全国各地から訪れ、遠方では九州から来られる方もいるそうです。

羽根沢温泉の特色(JPG:65KB)

まるでローションのようにとろみのあるお湯は、肌がすべすべになると女性客に好評

もう一つの隠れた特徴は、羽根沢温泉の源泉は山形県内でも数少ない間欠泉だということです。残念ながら、今は周囲が仕切られていて直接見ることはできませんが、近くに行くと「ボーン、ボーン」とお湯の噴き出す音が聞こえます。

温泉地の楽しみ方

羽根沢温泉は、鮭川村の中心部から水田地域を抜け、しばらく山道を走った先の細い渓流沿いに、突然姿を現わすというロケーション。里から離れ、現在、温泉宿3軒と共同浴場が1箇所、食堂が1軒あるだけという小さな温泉地は、何かなつかしくも、ホッとするような鄙びた雰囲気に包まれています。こんな静かな温泉場への小旅行で、やわらかな肌触りのお湯に身を任せたら、いいリフレッシュになることまちがいありません。

共同浴場(JPG:107KB)

共同浴場は羽根沢地区の集会場と一体になっています。

まずは、気軽に日帰り入浴で、名湯を体感してみてください。地元の人と触れ合う機会が多い共同浴場は入浴料200円!、松葉荘、旅館 加登屋、ホテル紅葉館の各旅館は一律300円!の入浴料で入ることができます。

多くの方に気軽に温泉旅を楽しんでもらえるよう毎週土曜日にはレトロなデザインのバス「ゆけむり号」(※)(新庄輸送サービス)が新庄駅から羽根沢温泉まで運行しています。

旅館に宿泊し、料理に舌鼓を打ちつつ、名湯にゆったり浸かるのが王道を行く楽しみ方。鮭川村のきのこや山菜、あゆ、鮭など、四季折々に趣向をこらしたプランでもてなしてくれます。ゆったり、癒されること間違いなしです。

ゆけむり号(JPG:112KB)

昭和初期のようなデザインのゆけむり号。11月までの運行です。

※「ゆけむり号」は11月末まで。新庄駅から羽根沢温泉までは、路線バスも運行(月曜日~金曜日)しています。

温泉で癒された後には、こんな体験はいかが

鮭川村は、きのこの生産量が県内の約6割を占める「きのこ王国」です。主にナメコ、エノキダケ、シイタケ、ブナシメジ、マイタケ、エリンギ、ヤマブシタケの7種が栽培されており、ナメコやシイタケの収穫体験ができます。また、花の栽培が盛んな地域で、鮭川村観光協会ではバラ摘み体験などのプログラムを用意しています。

バラ摘み体験(JPG:159KB)

ハウスの中で行うバラ摘み体験

観音堂(JPG:116KB)

ご本尊の観音様が祀られている観音堂

最上三十三観音打ち止めの寺・庭月観音も、足を伸ばして立ち寄ってほしいスポットです。ご本尊は、慈覚大師・円仁の一刀三礼行法(※)の御作として伝わり、元々は近江の国の名族・佐々木氏が代々尊崇するご本尊であったものが、同氏の羽州仙北郡への下向を経て、天文15年(1546年)、庭月の地にもたらされたものといわれています。現在も霊験あらたかな観音様として篤く信仰されています。

さらに、今年の秋からスタートした「雲海が見られる日の出ツアー」は、早朝、羽根沢温泉から与蔵峠までバスで送迎するもので、気象条件が揃えば、日の出とともに、新庄盆地に雲海が広がる絶景を楽しめます。バスで近くまで送るため、山登りをせずに気軽に見学できるのが魅力。4月中旬から下旬と10月から降雪期までにかけては、雲海の日の出が見られるチャンスです。これからの季節、羽根沢温泉に宿泊して、絶景を眺められたら、ぜいたくで貴重な体験となりそうです。

日の出と雲海(JPG:40KB)

与蔵峠の日の出と雲海は神秘的な光景

彩り鮮やかな紅葉から雪景色へと里山の景観が刻々と変化し、季節が秋から冬へと移っていくこの時期。温泉でほっこりあたたまり、お肌ツルツル「美人」に変身できる癒しの旅へと出かけてみませんか。

※仏像を彫刻するとき、ひと彫りごとに三度礼拝する作法

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