更新日:2020年9月28日

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育てて食べてマメで達者に

いま、山形から・・・ おらほの自慢 伝承の豆を地産地消 育てて食べてマメで達者に(真室川町)(JPG:199KB)

(平成28年12月16日掲載)

梅林公園のみごとな梅と真室川音頭で知られ、秋田県との県境・山形県最北部に位置する真室川町。この地域では昔から様々な種類の豆が栽培され、長い冬の備えとして保存・伝承されてきました。年末年始など年中行事の際の伝統料理に使われるのはもちろん、現代の生活にあわせた新しい豆料理が生みだされています。

厳しい冬を乗り越えるため受け継がれてきた豆

豪雪地帯で、長い期間、雪に閉ざされる地域では、冬季間の食糧の保存は重要な課題でした。冷蔵庫や真空パックなどが無い時代から、より多く、より長く食糧を保存する知恵として、塩漬けや乾燥(乾物)などの保存法が用いられました。乾燥させ長期保存が可能だった大豆は、タンパク質が豊富で「畑の肉」ともいわれる程、栄養価が高いことから、特に重宝がられてきた食材です。

真室川町では、今でも実に多くの種類の豆が栽培されており、大豆に限っても、色や形が違う種類のものがいくつも残っています。最上伝承野菜に認定されているものだけでも、黒五葉(くろごよう)、青黒(あおぐろ)、青ばこ豆、雁喰(がんく)いの4種類があります。水に入れて戻さなくても調理に使え、短時間で火が通り、味もしみ込みやすい「打ち豆」(大豆を木槌などでつぶしたもの)や、石臼ですりつぶした「きな粉」など、形を変えて様々な料理に使われるのが大豆の特徴です。

様々な種類の豆(JPG:172KB)

これが全部、真室川町でとれた豆です。

黒五葉(JPG:90KB)

黒五葉:葉が5枚あることから、この名前。形は丸く、香ばしい味の良い豆で、若いうちは枝豆として食べられ、黒豆煮としても食べられる。

青黒(JPG:70KB)

青黒:青豆の一種。他の青豆に比べ黒みがかかっている。緑色が濃く、味も良い。枝豆、打ち豆、数の子豆に。

青ばこ豆(JPG:81KB)

青ばこ豆:青豆の一種で、青黒よりも色が薄く、形もやや平たく、白っぽい模様が入るのが特徴。枝豆、打ち豆、数の子豆として食べられる。

大豆の他には、小豆、ささぎ豆があります。小豆は数種類が、ささぎ豆は弥四郎ささぎ、金時豆、白いんげん、平豆、花豆、虎豆など多くの種類が栽培されています。小豆とささぎ豆は甘く煮て、ぼた餅やあんこ餅、煮豆にして食べられます。

雁喰い(JPG:102KB)

雁喰い:豆の真ん中に雁がかじったような跡がある。大黒豆とも呼ばれ、枝豆、打ち豆、黒煮豆にも。

弥四郎ささぎ(JPG:101KB)

弥四郎ささぎの若さや。皮も実もやわらかい。お浸しや味噌汁に。

弥四郎ささぎの仲間(JPG:94KB)

かつて町内全域でつくられていたという実が茶色の弥四郎ささぎの仲間。今日まで伝承されている。熟した実は、煮豆や白あんに。

最上伝承野菜に認定されている弥四郎ささぎは、皮も実もやわらかいのが特徴で、若いときはさやいんげんとしてお浸しや味噌汁に使い、大きくなったものは煮物に、さらに豆が熟したら煮豆や白あんにできるなど、調理の幅が広いのに驚かされます。

地元の豆を使った伝統食

あたり一面が雪に覆われ、銀色に輝く冬。しんしんとさらに雪が降り積もる年末年始のころになると、蓄えられていた豆はさまざまな伝統料理に登場します。

どちらも長期保存が可能な小豆とかぼちゃを煮て、冬至に食べる「小豆かぼちゃ」。正月の祝いの席の「あんこ餅」。まめに暮らす(健康に暮らす)という意味を込め、おせち料理の祝い肴である「数の子豆」や「黒豆煮」。いずれも、真室川町では地元産の豆を使ってつくります。

数の子豆(JPG:64KB)

数の子は子孫繁栄、豆は健康を表す、数の子豆

小豆かぼちゃ(JPG:103KB)

昔は子どもたちの大好きなおやつだった小豆かぼちゃ。冬至かぼちゃとも呼ばれる。

黒豆煮(JPG:67KB)

さびた釘を洗ってから木綿袋に入れていっしょに煮ると、色が良く仕上がるという、黒豆煮

普段の食卓に並ぶ豆料理を

特別の日に限らず、日常生活の中で食べる豆料理というと、ふつうは煮豆などが思い浮かびますが、真室川食生活改善推進協議会では、豆の特長を活かした様々な新メニューを提案しています。

真室川町食生活改善推進協議会の皆さん(JPG:111KB)

試食をしながらお互いの得意メニューについて教えあう、真室川町食生活改善推進協議会の皆さん。

まめで達者めし(JPG:71KB)

まめで達者飯:大豆や黒豆、小豆など7種類の豆が入っています。

真室川町食生活改善推進協議会のメンバーは、養成講座を受講した30代から70代までの91名。減塩運動や栄養バランスのとれた食生活の推進などの活動を行っています。ピンク色のエプロンと「不摂生 間食 偏食 肥(ひ)の用心」のユーモアたっぷりのたすきがトレードマークです。

この日はそれぞれのメンバーが作った自慢の新作豆料理を披露してくださいました。イチオシメニューは、7種類もの豆が入った贅沢なごはん、「まめで達者めし」です。ほかにも、豆たっぷり、栄養たっぷり、もち米生地の「豆ピザ」、豚肉と大豆が美味しさの二重奏を奏でる、豆入り「中華まんじゅう」、カレー粉の香りが豆とベストマッチの「豆カレー」、豆のデザート、豆サラダ、豆入りがんづき(蒸しパン)など。さらに「これぞ真室川の豆料理」という、定番・納豆汁もテーブルに並びました。

豆ピザ(JPG:66KB)

豆ピザ:炊いたもち米をつぶし、味噌とラー油を塗り、やわらかく煮た青豆、溶けるチーズをのせて焼いています。

豆入り中華まんじゅう(JPG:65KB)

豆入り中華まんじゅう:体の中で生成されない必須アミノ酸を肉と豆から摂取できるようにと考えたレシピ。

豆カレー(JPG:73KB)

豆カレー:数種の豆をじっくり煮こんでいます。ごはんは雑穀米です。

豆のデザート(JPG:80KB)

豆のデザート:7種類の豆と甘く煮た小豆などをかんてんで固めました。

どの料理の豆も、ほどよく火が通りふっくらして、やわらかく、豆本来の甘みを感じることができます。種類によって味わいと歯触りが違い、互いに引きたてあっています。「孫や家族がおいしく食べて、健康になってもらいたい」という想いが、新レシピ考案の原動力となっているそうです。

豆サラダ(JPG:66KB)

豆サラダ:数種類の煮豆をすりごまとマヨネーズで。

「豆はたっぷり水を吸わせることが肝心で、2日間くらい水に浸すものもあるの。水をたっぷり吸った豆は、表面がパーンと張って、まるで二十歳の娘さんのお肌のようになるの。そしたら調理をはじめます。豆は、調理するまでの準備に時間がかかるのと、種類によって煮え方が違うため、1種類ずつ煮なければならないのがちょっと手間のかかるところ」と豆料理の秘訣を語るのは、会長の松澤榮子さん。「味噌煮豆などをつくると、海外産の豆は皮と実がはがれてしまうけれど、地元産の豆はしっかりしていてはがれない。やっぱり日本の料理に合っていて美味しく仕上がります。豆類は地元産で100g100円程度。100gでは少ないと感じますが水に浸せば2倍になり、十分な量になりますから、価格は決して高くありません」といいます。

真室川町食生活改善推進協議会のメンバー(JPG:107KB)

この日集まってくださった真室川町食生活改善推進協議会のメンバー。「不摂生 間食 偏食 肥の用心」のたすきがユーモアたっぷり。

スイーツで、自作料理で、真室川の豆を楽しむ

さいごに皆さんに真室川伝承の豆をお楽しみいただく方法をご紹介します。真室川町内にある「おかしの平和堂」では、最上伝承野菜の黒五葉の枝豆を使ったプリンと完熟した黒豆を使ったモンブランがあります。これらは伝承野菜スイーツとして販売されており、ふるさと納税の返礼品の一つになっているそうです。ぜひご賞味ください。

また、種類が豊富、食べ方いろいろの真室川の豆類を購入するには2つの方法があります。

黒五葉プリン(JPG:63KB)

おかしの平和堂の黒五葉プリン

様々な種類の豆(JPG:74KB)

工房ストローで栽培されている豆の数々

本文が入りますひとつは町内の伝承野菜の保護・販売を行っている「産直まごころ工房」での購入。まごころ工房では店頭販売でお求めいただけます。もうひとつが大豆10種、ささぎ豆9種をすべて自家採種で栽培している「工房ストロー」。最上伝承野菜になっている5品種もあり、工房ストローでは電話・インターネットによる注文販売が中心です。

皆さん、真室川の伝承の豆が手に入ったら、ご紹介したような伝統の、あるいは新作の豆料理にチャレンジしてみませんか。年末年始にこんな栄養たっぷりの豆料理を食べれば、お豆のようにふっくらつやつやの笑顔で来る一年が過ごせることでしょう。

まごころ工房(JPG:80KB)

豆はもちろん、真室川の特産品もりだくさんの産直まごころ工房

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