更新日:2020年9月28日

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日本一の芋煮会フェスティバル

いま、山形から・・・ 山形の旬だより 山形の秋、ココにあり。 日本一の芋煮会フェスティバル(山形市)(JPG:337KB)

(平成29年9月1日掲載)

6メートルの大鍋の蓋を開け、大型重機・バックホーで豪快にすくいあげる里芋、牛肉、こんにゃく、ネギ…。センセーショナルな光景で、一躍有名になった「日本一の芋煮会フェスティバル」のワンシーンです。山形の秋の風物詩、芋煮会シーズンの到来を知らせる、このビッグなイベントをご紹介します。

発祥は山形県中山町

秋になると、山形県内各地の河川敷には美味しそうな湯気が立ち上り、賑やかな笑い声がわき起こります。家族や友人、学校や職場などの親しい仲間同士で鍋を囲む「芋煮会」。最近では国外でも山形県人会などを中心に開催されているイベントです。

芋煮(JPG:163KB)

みんなで調理する山形の芋煮会

元祖芋煮(JPG:86KB)

棒鱈を使った元祖芋煮

鍋掛松(JPG:105KB)

船頭たちの休み場だったと言い伝えられている松の木。「鍋掛松」と呼ばれ、芋煮発祥のシンボルとなっています。

その発祥は諸説ありますが、江戸時代までさかのぼり、京都や大阪と結ぶ最上川舟運の最終地であった山形県中山町といわれています。当時は通信技術が発達していなかったため、荷物が到着する正確な時間がわからず、また、川下から川上へと舟を動かすための風を待たねばならないなど、とにかく待ち時間が長かったのだとか。そのため船頭たちが京都から運んできた棒鱈と、中山町で収穫された里芋とを鍋に入れ、河原の松の枝に鍋をかけ、煮て食べていたということです。

平成元年からスタートした日本一の芋煮会フェスティバル

その山形の食文化を代表する芋煮会を一大イベントにしたのが、今年で29回目を迎える日本一の芋煮会フェスティバルです。大人12人程が手をつないだ大きさという6メートルの大鍋と建設機械・バックホーで調理する様子は、山形の秋の風物詩として全国ニュースにも取り上げられるほど。大鍋に入れる材料は、里芋3トン、牛肉1.2トン、こんにゃく3,500枚、ねぎ3,500本、味付け醤油700リットル、隠し味に日本酒50升、砂糖200キログラム、山形の水6トン。これらを6トンの薪で煮炊きします。通常の調理器具では対応できず、登場するのが建設機械のバックホー。建設機械で食べ物をつくって大丈夫なのと心配される方もいますが、毎回一度も使用していない新品を用意し、可動部分の潤滑油を全て洗い落としています。代わりにマーガリンやバターで代用していますので食べても大丈夫。とにかく桁違いなスケールの芋煮会です。

芋煮の材料

この中身が全部、鍋に入っています!

昭和62年に商工会議所青年部のメンバーが、「山形を明るくPRし、どうすれば活性化できるか」と考えたことがはじまりでした。山形の風土に根付いた芋煮会を全国に売り出していきたいという熱意から、芋煮を桁外れの大鍋で大勢に振る舞う大芋煮会の構想ができたのだといいます。

日本一の芋煮会フェスティバルは地場産業の振興にも力を入れています。6メートルの大鍋は900年の歴史を持つ「山形鋳物」で作られているのです。現在の大鍋は平成5年から使われている「2代目鍋太郎」です。安全確保のため、毎年検査・修繕を行い使用してきましたが、老朽化のため今回でその役目を終えてしまうとのこと。最終年ということで引退セレモニーも予定していますので、今年はひと味違う日本一の芋煮会フェスティバルになりそうです。

鍋の移動の様子(JPG:88KB)

鍋の移動だって、大型クレーン車で行います。

豪快な調理(JPG:59KB)

3万食を一度に調理できる鍋太郎。その豪快な調理に、歓声が上がります。

新品のバックホー(JPG:68KB)

調理に使う新品のバックホー。可動部分の潤滑油は全て洗い落とし、マーガリンやバターで代用しています。

2代目鍋太郎の大きさは6mですが、それを超える大きさとなる「3代目鍋太郎」を製作するための「日本一の鍋太郎製作プロジェクト」がスタートしています。来年の日本一の芋煮会フェスティバルでお目見えとなる予定ですので、こちらも楽しみです。

山形県産食材にこだわる

注目されるのは、鍋ばかりではありません。材料だって、砂糖以外は全て地場産という徹底ぶり。メイン食材となる里芋は、粘り気の強さと旨味が特徴の「どだれ」という品種。山形市内の芋煮ファームで定植から収穫まで生産者と山形商工会議所青年部のメンバーが栽培しています。しかも無農薬で、除草薬さえ使用しないこだわりようです。そのほかの食材も、牛肉は深い味わいとまろやかな脂質が魅力のブランド和牛・山形牛、長ネギは土作りからこだわった、山形市内で栽培されたものを使用。そしてこんにゃくは寒冷地では育ちにくい中、山形で丹精込めて作られたものを使っています。地産地消にこだわっており、山形の美味が詰まった、まさに至極の一杯なのです。

芋掘り(JPG:122KB)

イベント直前に行われる芋掘り、芋洗いまで、生産者やJA、ボランティアの協力のもと行われています。

出し物の様子(JPG:150KB)

芋煮茶屋では、郷土文化を楽しめる出し物もあり、県外客にも好評です。

では、このこだわりの芋煮をいただくためにはどうすればよいのでしょうか?整理券発券所にて300円以上の協賛をすると芋煮引換整理券がもらえます。その券と引き換えに芋煮をいただくことができるのです(醤油味の他に塩味も選ぶことができます)。よりゆったり山形の芋煮を楽しみたいという方には“芋煮茶屋ゾーン”がおススメです。ここでは、事前にチケット(※)を購入することで、大型テントの特設会場で席に座ってゆっくり味わうことができます。牛肉しょうゆ味と豚肉しょうゆ味、二種類の芋煮とおにぎりがセットでいただけます。さらに牛肉しょうゆ味の芋煮は食べ放題なのもうれしいですね。また、土産品やお酒の販売、花笠踊りが披露されますので、山形を満喫できること間違いなしです。

(※)チケットは、大人(中学生以上):[前売券]2,600円[当日券]3,000円/小学生:[前売券]1,300円[当日券]1,500円。
※小学生未満の方も席をお使いいただく場合、小学生と同額になります。予約申込は9月4日(月曜日)まで。

今回は山形商工会議所120周年と第29(にく)回を記念して、山形の食肉をPRする特別イベントも同時開催。山形名物の芋煮をはじめとした、山形の“おいしい”を堪能できる1日になりそうです。

第29回 日本一の芋煮会フェスティバル

日程 平成29年9月17日(日曜日)
会場 山形市馬見ヶ崎川河川敷(双月橋付近)
※会場には駐車場がありません。山形ビックウィング、山形県庁などの特設駐車場よりシャトルバスをご利用ください。
※JRをご利用の方は山形駅から路線バスをご利用ください。
※仙台市からお車の場合は山形自動車道を山形蔵王インターで降り、山形県庁の駐車場に駐車し、シャトルバスをご利用ください。(仙台宮城~山形蔵王 約40分)

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