川村沙音里

大工

川村沙音里の仕事。
シエルホームデザイン[株式会社ホリエ] (飯豊町)

青年技能者の技能レベル日本一を競う「技能五輪全国大会」。
先輩技術者たちが熱く見つめるその先には、
一つ一つの作業を、丁寧かつ確実に取り組む、
川村沙音里さんの姿があった。
「一日も早く一人前になりたい」努力し続ける、若きマドンナを追う。

川村沙音里 父、そして先輩への憧れが導いた
大工への道


家族が住まう、新しい家を建てる。足場の組まれた現場には、大きなクレーン車で次々に建築用の資材が運び込まれ、大工たちが真剣な眼差しで上棟の作業に精を出していた。その現場で、必死に仲間たちの背中を追っていたのが、大工歴2年の川村沙音里さんだった。
川村さんが大工を目指したきっかけは、建築関係の仕事をしていたお父さんの影響とのこと。作業道具の入った腰袋を下げたスタイルが、とてもかっこよく見えていた。夢を叶えるべく、山形県立米沢工業高等学校 建設環境類に進学。在学中に「第54回技能五輪全国大会」へ出場、技術を磨いてきた。学校には、建築会社に就職して大工になった先輩たちが訪れることがあり、話を聞くうちに子どもの頃からの夢は、目指す進路へと変わっていった。


これからを担う
大工の1人として


「日々覚えなければいけないこと、できるようにならなければいけないことがいっぱい。帰宅する頃には、ご飯が食べられないくらい疲れている日もあります」と川村さん。家を建てる工程は細かく、技術を高める努力をし、先輩の技を盗み、積み重ねていくことが重要だと教えてくれた。就職後も、技術を磨くため職業訓練校に通い、また高校時代に出場した「技能五輪全国大会」へも平成29年度に挑戦、会社の仲間が見守る中で敢闘賞を受賞した。
川村さんが所属している株式会社ホリエの大工は8人で、平均年齢は30歳。退職後独立し働くベテラン大工と共に、家づくりを行っている。「若手育成には特に力を入れています」と言うのは代表取締役の堀江勝彦さん。近年全国で大工不足が叫ばれ、山形県でも今後10年以内にさらに激減すると見込まれている。「一般的に大工が一人前といわれるのは10年。でもそれを待っているだけでは、家を建てられない時代がきてしまう。ですから若いうちに知識や経験を積める環境を整え、どんどん成長してほしいと願っています」。成長の速度は人それぞれだが、川村さんの先輩は今年23歳の若さで棟梁を任された。「プレッシャーも感じますが、やっぱり一日も早く戦力になって、より良い家づくりをしていきたいですね」決意のこもった川村さんの笑顔がまぶしかった。


お客様に一生満足いただけるような家を

大工社会は男性がほとんどだが、力仕事を除けば、女性ならではの気遣いや繊細さが家づくりに生きてくるはず、と堀江社長は期待している。現在川村さんが担当しているのは、下地の部分。壁にクロスをかければ表には見えなくなる場所だが、完成した家を眺めていると、その中を想像して達成感を感じるそう。「家は一生の買い物です。この会社で家を建てて良かった、お客さまにそう感じてもらえたらうれしいです」と川村さん。時に厳しい言葉を受けながらも、思い描く理想の技術者を目指しながら、確かな歩みを進めている。