夏冬の暮らしを考え、自然に調和した「雁木がんぎの家」

<Data>
◎タイプ:3LDK ◎家族構成:4人 ◎築年月:平成25年12月新築 ◎敷地面積:701.33㎡(212.15坪)
◎延べ床面積:174.73㎡(52.85坪)1階:89.44㎡(27.05坪)2階:51.34㎡(15.53坪)ガレージ:33.95㎡(10.26坪) ◎構造:木造2階建て
◎工法:木造軸組構法 ◎工事期間:5ケ月 ◎補助金等:山形の家づくり利子補給制度

<新築プラン>
■夏は日差しを遮り、冬は雪よけ屋根となる雁木の家
■冬場の雪下ろしや除雪の問題をクリアした大屋根
■高断熱・高遮熱で冷暖房費を大幅に削減する省エネ住宅
■床下暖冷房システムによる輻射熱で家全体が暖か
■柱や梁と塗り壁が落ち着いた空間を演出する木の住まい
■山形の家づくり利子補給制度の基準に適合
 (県産木材使用・劣化対策等級3・省エネルギー対策等級4ほか)
■長期優良住宅に認定(耐震等級3)

夏冬の暮らしを考え、自然に調和した「雁木(がんぎ)の家」

高断熱・高遮熱の性能を生かす
二重床の床下暖冷房システムを考案し、
省エネ性のすぐれた低燃費住宅に

この住宅の大きな特徴は、軒から庇(ひさし)を長く出した「雁木(がんぎ)」だ。北側道路からアクセスする難点を解消するため、玄関のある東側と南側の二方をL字型に雁木にした。夏は日差しを遮り、冬は雪よけの屋根として風雪から守り、家族も来客も優しく迎え入れ、室内にも上手に光や風を取り入れられるつくりになった。

また、自然落雪式の大屋根で、「雪処理がラクなこと」という施主の要望に応えた。冬場は車の通らない東側と西側に雪が流れ落ちる大屋根にし、下屋部分は南側に自然に落雪させて、それぞれ敷地に落雪帯を確保。雪下ろしや除雪の問題を解決した。

自然な暖かさを感じる暖冷房システム

住宅の重要なポイントである断熱性能については、外壁・床・屋根に調湿性の高い断熱材セルロースファイバーと遮熱シートをあわせて使用し、高断熱・高遮熱を実現している。

高性能の断熱材、遮熱シートを適材適所に施工し、窓には高性能のトリプルサッシ、高断熱樹脂サッシを採用することで冷暖房費を大幅に削減でき、夏涼しく冬暖かい家になっている。

夏冬の暮らしを考え、自然に調和した「雁木(がんぎ)の家」 さらに、この高断熱・高遮熱を生かした独自の床下暖冷房システムを採用し、これからの時代の省エネに配慮した冷暖房計画にした。二重床にし、下の床にヒートポンプ方式の床置エアコンを設置する方式により、床下全体が空調ダクトになるため、エアコンでありながら冬は床全体から輻射熱効果が期待でき、自然な暖かさを感じることができる。窓付近の吹出ガラリと、壁と床の間に設けたわずかな隙間から暖気が上がるので、家全体が暖かい。

また、部屋ごとにエアコンを設置する必要もなく、夏場は同様に冷房システムとなる。イニシャルコスト、ランニングコストともに低く抑えることができ、低燃費住宅を可能にした。

間取り・内装についても「飽きのこない現代和風」との要望にそって設計してあり、床は無垢材で、リビングダイニングキッチンは古民家風に梁や柱を現し、塗り壁仕上げとすることで、落ち着きのある空間を演出している。

夏冬の暮らしを考え、自然に調和した「雁木(がんぎ)の家」

設計者・施工者が一体となって築いた家

夏冬の暮らしを考え、自然に調和した「雁木(がんぎ)の家」 リビングは、中央を大きく畳敷き(6 畳)にし、お父様の趣味の小箪笥などをそのまま飾ることで和の雰囲気を作り出し、南側の雁木越しに見える畑や公園を借景に、内部の自然素材とともに視覚的にも癒しを与えてくれる空間となった。

ほかにも北側の勝手口から食品庫、キッチン、脱衣室と回遊性があり効率的な動線の間取り、ご両親の部屋とトイレの配置、収納スペースにもこだわった造りとなった。

2階はサンルーム、トイレ、洗面コーナーを挟んで 2 部屋あり、東側の部屋には大屋根の形状を生かしてフロア続きの小屋裏収納を設けた。西側の部屋は、現在は洋室とウォークインクローゼットだが、間仕切れば 2 つの部屋にできるよう設計されている。

設計者がこだわった「設計者・施工者が一体となって」の家づくりは、一年中快適な空間と、機能性や将来への可変性に富んだ長期優良住宅が完成した。施主からは「想像以上で満足」と喜ばれている。

夏冬の暮らしを考え、自然に調和した「雁木(がんぎ)の家」

施主の声

これまで住んでいた家は築 40 年と古く、最初はリフォームを考えましたが、耐震改修が必要だと診断されたので新築することにし、設計にあたっては、3つの要望を出しました。
1つ目は、父の希望にあわせて現代和風で飽きのこない家であること。
2つ目に、以前の家はどんなに暖房をしても寒く、結露もできたので、冬暖かく断熱性が高いこと。
3つ目は、冬場の雪処理がラクなこと。
基本設計の段階で、何度も打ち合せを重ね、屋根の形も2種類の模型を使って、とても分かりやすく説明していただきました。
また、資金面についても、ローンや手続きのアドバイスや県の「家づくり利子補給制度」を勧めていただきとても助かりました。
完成した新しい家は、落ち着いた雰囲気で、冷暖房や断熱性、雪処理に配慮の行き届いた家になって、父も希望が叶いとても満足しています。
これから初めての冬を過ごしますが、暖かい家で安心して暮らせるのが楽しみです。


<取材協力/資料提供> 設計:金内勝彦設計工房 施工:株式会社 BIRTH HOME(バースホーム)