家族と地球環境の未来を想う、オフグリット住宅 [やまがた健康住宅]

<Data>
◎タイプ:5LDK+ウォークインクローゼット+ロフト+車庫 ◎家族構成:4人 ◎築年月:令和4年7月新築
◎敷地面積:499.98㎡(150.94坪)
◎延べ床面積:183.83㎡(55.50坪)
◎構造:木造2階建て ◎工法:在来工法・枠組壁工法 ◎工事期間:8ケ月
◎補助金等:「やまがた健康住宅」認定

<新築プラン>
■「やまがた健康住宅」の認証を受けた高性能住宅
■太陽光発電を活用し、電力を自給自足するオフグリット住宅
■断熱性、気密性を高め、外からの風や光による自然エネルギーを取り込み、省エネを実現
■立地のロケーションを活かした窓からの眺めと通風の確保。景観に溶け込むデザイン
■施主と友人らが手掛ける、呼吸する漆喰の壁

住まう人の健康と省エネに繋がる
高断熱高気密住宅

I様ご家族が目指すのは、大好きな場所で自由に生きるための、エネルギーの自給自足が可能なオフグリット住宅だった。
住まう人の健康と社会のエネルギー問題と向き合うコルポ建築設計事務所との出会いから、これからの暮らしと機能性について細かに相談。

そこから提案された、省エネルギーで燃費のよい高断熱高気密の家。I様の理想と、様々な技術や知識を駆使し、山形ならではの夏の暑さや冬の豪雪を考慮した、ナチュラルな住まいが誕生した。

太陽光パネルの設置を基準とした、外観と空間のデザイン

オフグリット住宅のエネルギー源となる「太陽光発電」。建設場所は県内でも有数の豪雪地帯で山間部にあることから、太陽光パネルの集光効率を上げるため屋根の勾配が急になっており、自然に雪が流れるように設計されている。特徴的な三角屋根は必然的に生まれ、そこから外観や空間ともに表情豊かにデザインが展開された。

2階の部屋の天井は、屋根のとんがりがそのままになっている。これは効率よく空気が回るようにするため。断熱性能にこだわり、屋根・外壁の厚さは210~315mmとなった。夏の暑さや冬の寒さの影響を少なくし、冷暖房にかかるエネルギーも削減する。窓を開ければ山から吹き下ろす澄んだ風が、空間を心地よく巡っていた。

サッシによる断熱。引き戸による空間の捉え方

窓は風を取り込むために必要であるが、それと同時に冷気や暖気も取り込み、また放出してしまう。そのため設置には十分考慮しなければならない。

ご家族それぞれの部屋となる2階の窓はシンプルでコンパクトなものを取り付けた。その反対に家族が集い長い時間を過ごすであろう1階リビングには、外の景色をも映す大きな窓を取り付けた。断熱性はサッシにより強化し、暑い日差しが差し込む西向きの窓には、トリプルガラスを採用。加えて室内への日射熱の侵入を防ぐため、外壁にメッシュ式の遮光スクリーンを設置した。

また、トイレ以外の扉は、基本的に全て引き戸。ここにも空気が自然に回るようにというコルポ建築設計事務所の工夫がある。必要に応じて引き戸を閉め、日頃は開けておくことで目線が通り空間は広く感じられた。

地域と施主の暮らしに溶け込むオリジナルデザインで

木を基調としたデザインが特徴のI邸。キッチンに接する食卓は家族で囲めるようゆったりとしたサイズで、床に足がしっかり届くよう低め。リビングの壁には陽のあたたかさを感じくつろげるよう、収納を兼ね備えたベンチが設けられた。

またリビングから外の風景を見渡す大きな窓の先には広々としたウッドデッキも。引き戸を含め、全ては施主の暮らしや想いに寄り添いデザインされ、職人が手造りしたもの。これも既製の建具で雰囲気を損ねたくない、地元建具職人の技を繋ぎたいという、コルポ建築設計事務所のスタイルだ。

1階の壁は施主や友人らによって漆喰が塗られた。呼吸する特性と漆喰ならではの優しい趣で、これからの生活を包む。自然の恵溢れる山形で、家族の新たな暮らしが伸び伸びと育まれていく。

施主の声

この地域が大好きで、景色の良い場所を探し求め6年越しで巡り合えた土地です。世界のエネルギー問題に目を向け、その場で作れるエネルギーで暮らすことができたらもっと自由な生き方ができるのではないかと、コルポ建築設計事務所に相談し、理想のオフグリット住宅が実現しました。井戸を掘って水源も確保したり、畑を作って野菜を育てたり、あたたかいリビングで景色を眺めながら家族とひなたぼっこをしたり、これからの新しい生活を楽しみにしています。


<取材協力/資料提供>設計:コルポ建築設計事務所