匠の仕事:株式会社 大井工務店

斎藤真人
技の習得に必要なものは前向きさ。
目指すは、経るほど良くなる家づくり。
斎藤真人   熟練の匠 認定番号007

株式会社 大井工務店
〒998-0853 酒田市みずほ1丁目21-11
☎ 0234-22-2262

この道16年。始めの10年は現場で働き、その後は弟子の育成・現場の指揮に当たる。最初に学んだのは道具の大事さ。道具の良し悪しは家の仕上がりに大きく影響するだけに研ぎを徹底的に叩き込まれた。刻み、切り込みは先輩の仕事を見ながら覚えた。先輩は教えてはくれないが聞けば答えてくれる。技の習得には前向きさが必要であり、自分で考えることが重要であることを知った。3年目に「墨付けをやらせてほしい」と申し出た。会社は仕事への積極的な姿勢をかってくれて任せてくれた。墨付けは、例えば1本の木で3㎜違うと3本つながると1㎝の差が生じて家は建たない。図面とにらみ合い、木の生い立ちを読み、将来の伸びを予測し、ミリ単位の精度で墨を付けていく。木を切り、刻み、切り込みを入れていく職人の期待に応えなければいけない。プレッシャーは大きい。経験がものをいうこの世界、ひたすら墨付けに挑戦し続けた。数年後、「同じ経験年数の大工ならだれにも負けない墨付けができる」といえるほどの自信を持つようになった。
やがてプレカットの時代を迎える。しかし、培った墨付けや手刻みの技術はムダにはならなかった。自然素材を中心とした家づくりを進める会社にとって、木に熟知した職人の技が不可欠なことに変わりはない。木材は生き物だけにクセがある。クセに合わせて組み上げると年々締まって強くなるという。歳月を経るほど良くなる住まいづくり。それが職人の本当の技だと話す。ただ、「自分が納得できるのもの造るのは当然だけれども、その先にお客さんがいることを忘れてはならない」と力説する。お客さんの思いを丁寧に、きちんと形にすることの大切さも16年の歩み中で知った。「木心」と同時にお客さんの「気心」を読むことも大切な技なのである。

斎藤真人

〈取材協力/資料提供〉設計・施工 株式会社 大井工務店