匠の仕事:阿部建築:阿部拓朗(S邸/河北町)

阿部 拓朗
大工仕事で80点は0点と同じ。
いつでも満点を取る決意で臨む。
阿部 拓朗 技能の匠 認定番号083

阿部建築
〒999-3511 西村山郡河北町谷地字所岡114-1
☎ 0237-72-2750


※所属等は取材当時のものであり、現在と異なる場合があります。

阿部拓朗さんは4代目の大工だ。3代目の父は、当初、仕事の厳しさから大工を継ぐことに反対だった。しかし、「子どもの頃にノコギリを引いている写真があり、小さい時から大工が夢でした」というように、DNAはしっかり受け継がれていた。
高校卒業後、専門学校に通い設計を学んだ。曽祖父の代より設計から施工までを1人で手掛けることを生業としてきたからだ。その後、父の下で働きながら地元の職業訓練校に通い施工技術を習得した。二級建築士、一級建築大工技能士、二級建築施工管理技士と資格取得を重ねるにつれ図面なども描かされるようになった。とはいっても、一級建築士であり40年近いキャリアをもつ父の目は厳しく「大工仕事は0点か100点しかない。80点は0点だ」とダメ出しの日が続いた。「とにかく父の仕事を参考にし、毎晩図面を描きました。墨付けや刻み方なども盗んで学びました」と阿部さん。努力の甲斐もあり、誰にも負けない技を徐々に身に付けてきた。ひとつは「設計のアイディア」。お客様の要望に対して幾つものプランが湧いてくるという。そして、「鉋がけは父よりうまいかな」と思うことがあるという。年々「負けない技」を増やし、いつかは父を超えるのが目標だ。
阿部さんは、これからも手づくりにこだわっていく考えだ。自らの手で木を切り、刻み、組み立てていく。木と木ががっちり組まれ、強い建物が出来ていく姿を見て、代々伝えられてきた技の価値を知る。これからは、この技に自分のカラーを加えながら自分流の家を提案していく決心だ。もちろん80点ではなく100点の家である。

〈取材協力/資料提供〉設計・施工 阿部建築

匠の手がけた作品

匠の手がけた作品

広さと自然の心地よさを感じたい。
そんな願いをモダンな美しさに込めて。

S邸は 阿部さんが設計から施工まで手掛けた最初の物件だが、墨付けや手刻みで建てた家というイメージと異なる「シンプルモダン」なデザインだ。Sさんの要望は、将来2世帯で住む場合に狭さを感じない空間、そして自然と調和した住まいであること。玄関からLDKと和室へ、白を基調としたインテリアで連続性をもたせた空間構成が広がりを創出している。モダンな和室とリビングが一体となった空間は、ワイドな開口部から入る光が白の壁や床に反射し、より大きな開放感をもたらしている。エアコンの冷暖房が苦手なSさんが希望した自然環境との調和は、省エネ等級4以上という高断熱材仕様などで叶えた、機械に頼りすぎない省エネ住宅である。断熱材を強化することで窓を大きく数多く取ることを可能にし、冬は採光で、夏は通風で家全体を心地よい環境にしている。外壁や室内のカラーコーディネイト、無垢材などの素材の取り入れ方、ドアの形態、ビルトインガレージのしつらえ、さらにエアコンの配管を壁内に隠した場合の見映えなど、細かいディテールを3D画面でひとつ一つ確認しながら建てたS邸。現代的なデザインの中に、職人の手仕事の細やかさ、心づかいが感じられる住まいである。

匠の手がけた作品 匠の手がけた作品 匠の手がけた作品

施主の声

何をやるにしても手を抜かない、阿部さんの仕事ぶりには感心させられます。「自然の取り入れ方とデザインの調和」などについて、20回以上に打ち合わせをしました。空間の細かい部分まで3Dの画面や現場で確認する徹底ぶりで、おかげで納得できる住まいができました。省エネ住宅についての知識から建築確認などの申請など、あらゆることに詳しく、安心して家づくりをまかせられる「職人」です。