空き工場のコンバージョンで実現した、
人が集うアトリエ併設の住まい。

<Data>
◎家族構成:2人 ◎築後年数:28年 ◎施工面積:192.6㎡ ◎工事期間:6ヶ月
◎補助金等:河北町移住定住促進事業等補助金
◎第36回住まいのリフォームコンクール
 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞 (コンバージョン部門) 受賞 [コンクール講評資料]
◎第17回日本金属サイディング工業会 施工事例写真コンテスト最優秀賞(リフォーム部門) 受賞

<リフォームプラン>
・空き工場からアトリエ併設住宅へのコンバージョン
・凍害で傷んだ外壁をはじめとする建物の包括的修繕
・無垢材を使用し、経年変化を楽しめるインテリアに

リフォーム後 ― After

リフォーム後

“地元に戻り、陶芸教室を開きたい”と、新築を検討していた施主のSさん。設計施工を担当した「結設計工房」は、既存の建物を用途変更し、再生するコンバージョン建築を提案。空き工場をアトリエ併設住宅へと変換する改修工事を行った。
アトリエがメインの1階。天井が高く、開放的な特徴を活かして、以前の作業場は創作スペースに。床は取り壊して手入れのしやすい土間にし、天井裏にはグラスウールを敷き詰め、断熱性と防音性を強化した。商談室やギャラリーとしても使う客間は縁側付きで、自然の風合いのある聚楽壁(じゅらくかべ)が印象的な純和風テイストに。また、将来はアトリエをLDKにして、1階だけで生活ができるよう老後の生活も計画もしている。
2階は完全居室にしてプライバシーを確保。リビングは無垢材を随所に施し、経年変化を楽しめるくつろぎの空間に。食品庫、クローゼットはあわせて約8畳という充実した収納量。家具は工事を担当した大工の技で、施主の要望をかたちにした一品もの。住まいに溶け込み、時を重ねるごとに愛着を感じられるようになっている。
かつての可愛らしい外観は、凍害で傷んだ外壁を金属サイディングに。そこへ縦格子を組み合わせ、シックな佇まいへと生まれ変わった。
年々深刻化する空き家・空き店舗問題。錆びついた工場を改修し、子どもから大人までが集う創作の場となったこの事例は、新しい暮らし方を提示するモデルケースとなるはずだ。

リフォーム途中

リフォーム途中

<リフォームポイント>
・修繕に加えた断熱、防音などの機能性の強化。
・2階を居住部分にし、プライベート空間を確保。
・将来を見越した、空間に余裕のある間取りプラン。

リフォーム前 ― Before

リフォーム前

施主の声

作品を焼成するために広い敷地が必要なことと、教室なのでアクセスにも配慮しなければならず、土地探しには頭を悩ませました。ですが、既存の建物の改修という形でこれらを解決しました。また、工事中は毎週のように大工さんと打ち合わせを行って、イメージを反映していただいたおかげで、アトリエも住まいもお気に入りにあふれています。


<取材協力>設計・施工/株式会社結設計工房 <写真提供>根岸功