和も洋も。家族の「好き」と「機能性」を高めた家づくり

<Data>
◎家族構成:7人+小型犬1匹 ◎築後年数:50年 ◎施工面積:129.72m2
◎工事期間:5ヶ月 ◎補助金等:こどもみらい住宅支援事業

<リフォームプラン>
・認識しやすい場所へ住宅の顔となる玄関を新設
・既存躯体をそのままに、耐力壁の追加と外壁の張り替え
・外廻りの断熱材及びアルミサッシの更新
・内装仕上げ材及び電気・空調の更新

リフォーム後 ― After

リフォーム後

仕事と暮らし、想いが詰まった住宅
家族のこれからを楽しむリフォームへの決意

きっかけは、成長されたお子さんの「自分の部屋がほしい」との一言だった。そもそもS様邸のリフォームは、これが初めてではない。家は昭和47年、祖父が作業所併用住宅として建てたもの。表通りに面して作業場が造られ、その隣には車庫。奥にある住まいへの玄関はなく、車庫の中にある扉から入るようになっていた。その後、父親が設計を主な仕事とするようになり、作業所を事務所へと改修。老朽化によって雨漏りが進み、屋根の修理も行っていた。今から10年前には住まい部分のリフォームが計画されたが、家族の想いがまとまらず、見送られていた。

築50年。大型トラック通過による揺れの不安や、冬期の底冷えによる暮らしにくさ。S様はこれを機会にと既存躯体と屋根を残し、耐震改修、断熱材改修をメインとした大規模なリフォームを決意。長年自身が設計事務所に勤めていた経験から、家族一人ひとりの意見を集約し、自ら設計図をまとめた。

長年待ち望んだ、快適な環境の実現

耐震補強には既存躯体に構造用合板を増張りし、家全体を面で支える工法を用いた。劣化していたこれまでの断熱材も入れ替え、外壁も気密性の高いものに。家全体の空気循環が効率よく行えるよう、空調も見直された。そしてずっと寒さが問題視されていた台所には、暖気を遮断し6畳というスペースを有効に使えるよう、引き戸を取り付けた。また、外部の目線が気になっていた、人通りの多い道路に面した台所は、高い位置へと変更。同じく通りに面した茶の間の窓には、S様が考案し、製作した上げ下げ可能な内障子戸を取り付け、プライバシーを確保。ほどよく光と風が通る良い環境を整えることができた。

特に大きな改造が施されたのは玄関だ。家族の靴が収納できる、大容量のシューズクロークを併設。框にセンサー付きの間接照明を取り付け、ぐっと明るい空間に。また軒下のポーチを広めにし、冬期間の風よけと作業性を両立させた。夏にはバーベキューなどを楽しむことができる。

リフォーム後

生活スタイルに合わせた
次なる展開への期待を秘めて

父親が事務所として使用していた部屋は、ご両親の寝室へ。書斎で仕事ができる環境にし、ベットの真上には間接照明を設け、夜でも読書が楽しめる空間になった。娘さんの部屋は上品な白を基調としたフローリングに。筋トレが好きな息子さんの部屋には、タイルカーペットを設置。また、和室を仕切る襖戸には、感銘を受けた京都で見た唐紙の文様の消しゴムハンコを手作りし、金色のインクを用いご夫婦でデザイン。世界に一つしかない建具となった。明るい色の壁紙の選択や、鴨居、廊下などへの間接照明の設置から、空間はぐっと華やかに。それぞれのこだわりを詰め込んだ、和洋バランスの良い、理想の家となった。

S様はもっと先の家族との暮らしを想像し、10年後のペレットストーブ設置を含めた次なる展開も視野に入れている。リフォームには決められた空間から可能性を広げる面白さがある。そうして出来た住まいは、家族にとってより特別な場所へと進化を続けている。

<リフォームポイント>
・玄関へシューズクロークを併設。軒下ポーチを広めにし、冬期間の風よけと作業性を両立
・人通りの多い立地から、内部のプライバシーを確保するため、外からの視線を遮断しながら、風が通る工夫に
・東側外壁のオフセット面をレッドシダー張りに。素材の温かみと経年劣化を楽しむ造りに

リフォーム前 ― Before

リフォーム前

施主の声

代々住み続けてきたこの地域で、スクラップビルドではなく、今の私たちの生活に合った機能性を高める住宅が必要と考えました。リフォームの可能性は無限。玄関の新設以外は間取りの変更はしていませんが、外壁及び内装の仕上げを更新したことで、新築のようになり、日々の暮らしがより愛おしくなりました。10年前にはまとまらなかった想いもカタチとなり、子どもだけではなく両親も喜んでいます。これからの家族の成長と変化を暮らしと共に楽しんでいきたいです。


〈取材協力〉施工/章和ホーム株式会社