冬は暖かく、夏は涼しく
家の中の温度差を無くして快適に過ごせる家に

<Data>
◎家族構成:3人 ◎築後年数:29年 ◎敷地面積:499.9m2 ◎施工面積:129.72m2
◎工事期間:7ヶ月 ◎補助金等:長期優良住宅化リフォーム推進事業

<リフォームプラン>
・認識しやすい場所へ住宅の顔となる玄関を新設
・既存躯体をそのままに、耐力壁の追加と外壁の張り替え
・外廻りの断熱材及びアルミサッシの更新
・内装仕上げ材及び電気・空調の更新

リフォーム後 ― After

リフォーム後

慣れ親しんだ間取りのまま、家を丸ごと断熱

家を建ててから約30年、愛着のある住まいだが一番の悩みは冬場の寒さだった。暖房効率が悪いため、部屋を閉め切ってストーブを付けることでどうにか寒さをしのいでいた。浴室や台所は特に冷え込みがひどく、ヒートショックの心配もあった。施主のTさんご夫妻は建て替えも検討されたが、間取りそのものは気に入っていたため施工会社と相談を重ね、慣れ親しんだ生活動線を残したまま家全体を断熱するリフォームを実施することに決めた。

リフォーム後

壁と天井、床下の断熱に加え、窓にトリプルガラスと樹脂フレームを採用することで熱のロスを抑えて暖房効率を格段に向上させ、1階と2階にあるエアコンをつけるだけで家全体が均一に暖かくなる居住空間を実現した。

また、リフォームにあたってはアレルギー体質の家族を考慮し、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸収分解する石膏ボードを使用。フロアにはムク材、壁には卵の殻を使った仕上げ材を用いるなど自然由来の素材を生かすことで、心地良さと落ち着きのある仕上がりとなった。

リフォーム後

家族みんながより快適に暮らすための工夫

基本的な間取りはそのままにキッチンを対面型とし、リビングとキッチンで区切られていた間取りをつなげてLDKに変更。これによってキッチンに居ながらでもリビングの家族と会話ができるようになり、子供たちが帰省した際も一家団欒が楽しめるくつろぎの空間が生まれた。さらにスペースを有効活用して食品庫を設けることで、整理整頓のしやすさにも配慮した。

2階には収納スペースとトイレを設置して生活利便性を向上。洗濯機置き場も2階に移動することで、これまで手狭だった洗面所のスペースを広げるとともに、取り出した洗濯物はドライルームですぐに干せるようになった。

リフォーム後

また、これまでは2階の物音が1階まで響くこともあったが、床に遮音性の高い建材を用いることで音の悩みも解消した。日当たりの良い南面の窓には、夏場の日差しを遮るための収納式アウターシェードを設置。室温上昇を押さえることで冷房負荷を軽減し、節電につなげる工夫である。

リフォーム後

時が経つほどに愛着が増す住まいに

家の向かいは人や車の往来が多い道路に面しているため、玄関前には焼杉を張って目隠しを施した。質感の異なる壁面の杉板と相まって、外観のアクセントにもなっている。家の外では車が通る度に聞こえていた音も、ひとたび家の中に入れば聞こえなくなる。リフォームの際に耐震補強をしたことで防音性も高まり、風が強い日でも家の中は静かで快適なのだと施主のTさんご夫妻は話す。

長期優良住宅の認定も取得し、長持ちするように新たに生まれ変わった我が家。夏も冬も快適に過ごすことができ、時を経るほどに愛着が増していくリフォームプランにより、Tさんご夫妻がこれから心地良い暮らしを送り、子供たちが受け継いでいくのにふさわしい住まいとなった。

リフォーム途中

リフォーム途中

<リフォームポイント>
・外壁に杉板を用いることで、味わいのある経年変化を楽しめる外観に
・床材にムク材を使用し、裸足で温もりや素材感が感じられる仕上がり
・2階の南面の窓には夏場の室温上昇を抑えるアウターシェードを設置
・玄関前には焼杉を張り、通りからの目隠しとともに外観のアクセントに

リフォーム前 ― Before

リフォーム前

施主の声

冬の寒さが一番の悩みで、今後も健康に暮らしていくために断熱は重要だと考えリフォームしました。基本的な間取りは変えていないので、慣れ親しんだ生活動線のままで暮らすことができ、子供たちも育った家が残っていると喜んでいました。フロアや壁にはムク材などの自然素材を使っているので、落ち着いてゆっくりと過ごせます。床の段差と温度の段差が解消されたので、部屋を行き来する際の足取りが軽くなり、収納によって物が片付いてすっきりしたので、面積は変わらないのに家が広くなったように感じます。


〈取材協力〉施工/有限会社 桂建設