菅戸政春

大工

菅戸政春の仕事。
菅戸建設 代表(尾花沢市)

宮大工として社寺建築も手がける卓越した腕と無垢材へのこだわり。自然と共生し、住み心地がよく長持ちする家づくりの想いが、雪国にふさわしい無落雪屋根を生んだ。
「施主に満足し手もらえる家を作ること、
それが大工としての一番の喜び」
研究心が職人の技術を現代に活かす。

菅戸政春 豪雪地帯として知られる尾花沢市。屋根に積もる2メートルを超す雪は、雪国の暮らしに様々なデメリットをもたらす。そんな中で、山形県内でも先駆けて無落雪屋根に取り組んできたのが菅戸さん。寺社建築を手がける宮大工としての技術も持つ数少ない職人の一人である。
百年、二百年と歴史を刻む寺社建築の技は、住宅にも活かされる。無垢材にこだわり、プレカットではなく古来からの継ぎ手で木を組む。場所によって仕口も使い分ける。
「木は一本一本違う。上下を見分け、どこが狂いやすいか、割れやすいかを見極めて、家のどこに使うか番付を決める。そうしないと、梁が下がってきたり、クロスが割れたりする」。
庭に趣味で建てるという東屋の柱を刻んでいる現場を見せてもらう。不規則な形の丸太の中心取り、六角形の屋根を支えるため6方向に入れられる刻み、複雑な木組みや入り母屋づくりの屋根のそり(曲線)を作るために不可欠な原寸大の設計図「原寸出し」など、菅戸さんならではの匠の技が駆使されている。
無落雪屋根を手がけたのは昭和55年。北海道の事例をヒントに、まず自宅の屋根を改修して研究を始め、何年か様子を見てお客さんの家づくりにも採用していった。屋根にはボイラーを使ったヒートパイプを入れ、積雪そのものを軽減する。M型形状のため落雪や雪下ろし時の落下事故の心配もない。軒下を駐車スペースにすることもできるし、雪下ろし場所を確保しなくても済む。
その他にも、自邸を実験台にして、平屋を住みながら2階建てにするといったリフォーム技術を開発。
「出来るだけ地元材を使って丈夫な家を建てること、そして手を入れながら長く快適に住み続けられること、それが施主の方のためだし、大工としての変わらない役目だと思う」。