菅原秀和

石工

菅原秀和の仕事。
菅原石材店 三代目(遊佐町)

親子三代にわたり営む“まちの石材店”。
家業を継ぐと決断し、修業時代はただ愚直に
父の背中を追いかけた。一人の後継者として、
地域を牽引する石工職人のリーダーとして、
新たな時代の石づくりに挑戦し続ける。


※所属等は取材当時のものであり、現在と異なる場合があります。

菅原秀和 22歳で石工の道へ
日々手探りの修業時代


「菅原石材店」三代目の菅原秀和さん。墓石をメインに、石垣、石碑の施工や石材加工、最近は室内の暖炉まわりの石材張りなど、石づくりの専門店として幅広いオーダーを受けている。菅原さんは地元高校を卒業後、北海道の大学へ進学。家業を継ぐことを決め、22歳で帰郷した。「まずやってみろ、が親父の口癖。見よう見まねの毎日でとにかく必死でした」。


地元の職人たちが集う
石材協同組合への加盟


地元に戻った菅原さんは、庄内の石工が組織する「庄内石材協同組合」に加盟する。そこでは、地元で活躍する職人たちから、石材施工技能士資格の取得に向けた特訓に付き添ってもらったり、組合で請け負った大きな工事に参加したりと、実践的なスキルを身につけた。酒田市(旧平田町)の「砂越城公園」の土塁も、組合で取り組んだ修繕工事の一つ。現在は青年部長として、結合方法やコンクリートの配合方法など、地域独自の施工基準をつくろうと考えている。「昔は“職人の仕事だから”で通っていましたが、災害大国である日本において目に見える安全対策は必須ですから」。組合には20~30代の石工も所属しており、新たな技術や知識の共有など、活発な交流を行っている。


変化する時代とニーズに
技と柔軟性をもって臨む


顧客のニーズが大きく変わりゆく石材業界。この状況下で、「日本人の価値観は変わらないでほしい」と菅原さんは語る。「石はその時代、その時代をきちんと残してくれる。だからこそ守りたいと考えている方々を支えたいです」。一度建てたものをより長く使ってもらえるようにと、菅原さんは現在、施工物の洗浄や研磨作業といったメンテナンス作業にも力を入れている。
「石そのものに興味を持ってもらいたくて」と、菅原さんは、現在山形県職業能力開発協会の「ものづくりマイスター」の一人としても活動中。小学校を訪問して、子どもたちから石工の仕事や石そのものについて知ってもらい、職業選択の一つとして考えてもらおうと授業を行っている。他の業界同様、石工も担い手不足が叫ばれているが、菅原さんは若き芽を育てようと常に未来を見据えている。