山村正作

造園

山村正作の仕事。
有限会社山村造苑 代表取締役(山形市)

平面図だけではつかみ切れない完成度の庭を
手書きのバース画で立体的に見せる。
それが施主の理解と信頼を生む。
伝統の技法はその時、時代のニーズにマッチする。
「眺める庭から、楽しく過ごす場所へ。
庭が求められるものが大きく変わっています」
だから、伝統を大事にしたうえで変化を忘れない。

山村正作 山形ならではの庭作り。それは寒さに順応する樹木の性質を知り、日向日陰に向いた選択と配置で施工すること。植物に対する豊富で幅広い知識と情報収集が不可欠である。山形で庭木として使えるものは約250種ほど。さらに、昔に比べ気温が上がって新たに使えるようになった樹木もあり、山村さんはそのほとんどを把握する。蔵王石、鳥海石などの良石があることから庭石をふんだんに使うのも特徴の1つ、その石組みや庭全体の配置にも、伝統的な技法が活きる。
「植木屋の世界では"振り"と言いますが、基本が分かった上で決まりごとを少しだけずらす、庭全体の出来栄えが違ってくる」。その微妙な感性、バランス感覚がプロの庭作り、造園家としての真骨頂。仕事の面白さだと話す。造園関連だけでなく、小原流家元認定教授の資格を持つ山村さんの腕の見せどころでもある。
しかし、一方で住まいの様式やライフスタイルが大きく変化し、庭のあり方、素材も変わってきている。庭園からガーデニングへ、眺める庭から楽しむ庭、過ごす庭へ。それを山村さんは、庭の「戸外室化」と呼ぶ。
これからの造園家に求められるのは、日本庭園の伝統を大切にしながらも、その知識とノウハウを施主のニーズに応えて変化させていく柔軟な発想と技術。洋風であれ、施主が自ら楽しむ小さなガーデニングであれ、自然の素材をどうプランするかであり、植物を扱わない庭はないからだ。そこにプロがかかわる意味があるという。施主への提案は平面図化のほか、必要に応じ、手描きのパースデザインを添える。完成後の庭をより具体的にイメージしてもらえるだけでなく、施工する職人たちのミスを防ぐ設計図となる。
「その時々のベストを尽くしても、相手は自然。手をかけた庭は必ず毎年の経過を見ていきます。そうしないと自分自身も成長しない。そして、和洋にかかわらず、山形の住まいにふさわしい新しい庭のあり方を提案していきたいですね」。