更新日:2022年6月2日

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6月定例会(令和4年6月2日)

 県議会6月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

はじめに、第6回「山の日」全国大会の開催について申し上げます。

 8月10日、11日に、北海道・東北地方では初となる第6回「山の日」全国大会が、蔵王を主会場に、「山を想い、山を愛し、山と生きる。~樹氷輝く蔵王のやまがたから、未来へ~」を大会テーマに開催されます。
 県民の皆様には、この大会を契機として、地域の宝である山の豊かさや自然環境保全の取組みの必要性を再認識し、身近な山に一層愛着を深めていただきたいと考えております。
 県としましても、これまで以上に多くの皆様が、多様な魅力を持つ本県の山々に親しんでいただけるよう、市町村と連携し、きめ細かな情報発信に努めてまいります。また、「やまがた百名山」など県内の山々や温泉に全国の多くの皆様から訪れていただけるよう、本県の山々の魅力や山に育まれた精神文化も含めて、今後とも広く発信し、更なる山岳観光の振興、地域経済の活性化につなげてまいります。

次に、地域連携ICカード「チェリカ」について申し上げます。

 5月14日から、県内の路線バスをキャッシュレスで利用できる地域連携ICカード「チェリカ」のサービスが開始されました。
 チェリカの導入により、バス利用時の利便性が向上するほか、買い物などでもキャッシュレス決済が利用できることから、県民幸せデジタル化への大きな一歩になるものと考えております。加えまして、新型コロナ感染防止対策としても有効なものであります。
 県としましては、チェリカの普及・拡大を図り、地域公共交通の更なる利便性向上と利用拡大につながるようしっかりと取り組んでまいります。

 次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。

経済の動向

はじめに、経済の動向について申し上げます。

 我が国の経済につきましては、持ち直しの動きがみられます。
 本県の状況について見ますと、個人消費につきましては、まん延防止等重点措置の終了以降、人の流れが徐々に戻りつつあるなど、総じて持ち直しの動きがみられますが、宿泊・飲食などのサービス消費は依然として弱い状況が続いております。鉱工業生産につきましては、一部に部品不足による影響がみられるものの持ち直しており、雇用情勢も改善が進んでおります。
 このように、本県経済は、総じてみれば緩やかに持ち直しているものの、宿泊・旅行業、飲食業等、コロナ禍の影響を大きく受けた業種は、依然として厳しい経営環境下にあります。
 こうした中、ウクライナ情勢への懸念等による原油価格の高騰や急激に進んだ円安等による物価の上昇が続いており、県民生活や長引くコロナ禍により疲弊している業種をはじめ、県内の幅広い業種に影響を与えております。
 このため、県では、原油価格等の高騰による影響を受けた県内中小企業者に対する「原油価格・物価高騰に関する特別金融相談窓口」の設置や低利融資による資金繰り支援を実施しているほか、農林漁業者に対する省エネ機器・設備の導入支援や、無利子融資を基本とする経営安定資金の活用などを呼びかけているところです。
 県としましては、コロナ禍からの社会経済活動の回復を確かなものとするため、今後の原油価格・物価の動向を注視するとともに、政府と連携して、物価高騰等の影響に機動的に対応していくことが重要と考えております。

農作物の生育状況

次に、農作物の生育状況について申し上げます。

 4月の気温は平年並から高く、5月に入り寒暖の差が大きくなったものの、低温や降霜の影響は少なく、比較的良好な気象で経過したため、これまでのところ、各農作物は全体的に順調に生育しております。
 水稲につきましては、苗の生育が良く、田植え作業も順調に進み、「つや姫」「雪若丸」をはじめ、全般的に平年並みの生育となっております。
 さくらんぼにつきましては、5月23日に行った作柄調査において、収穫量は「平年並」の13,300トン程度と見込んでおります。収穫盛期は、主力品種の「佐藤錦」が6月19日から22日頃、「紅秀峰」は6月29日から7月2日頃と予想しています。現在、高品質生産に向け、関係機関と連携して、着果後の管理徹底に取り組んでいるところです。
 また、露地栽培のすいかやメロンにつきましては、現在開花期を迎えており、例年どおり7月中旬からの出荷を見込んでいます。
 今後とも、生育状況の的確な把握に努め、気象の変化に対応しながら、引き続き適切な栽培指導を行ってまいります。

当面の県政課題

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、新型コロナへの対応等について申し上げます。

(国内外及び県内の感染状況等)

 世界の新型コロナの感染者数は、5億人を超えました。感染のピークを過ぎた国もみられ、増加のペースはやや落ちてきているものの、依然としてパンデミックの収束は見通せない状況です。

 国内では、新型コロナの動向を踏まえ、3月21日に全ての都道府県でまん延防止等重点措置が解除されましたが、BA.2系統への置き換わりが急速に進み、高止まりの状況が続いています。

 4月末からの大型連休期間におきましては、コロナ禍が始まって以来初めて、行動制限を行わなかったことから、全国的に昨年を上回る人の移動が見られました。このような中、県では、高齢者施設や保育施設、高等学校等への抗原定性検査キットの配布などによる陽性者の早期発見をはじめ、成人式や県内で開催されたサッカーJ2の試合会場において、若者の3回目のワクチン接種の啓発活動を行ったほか、SNSなど各種媒体を活用して基本的な感染防止対策徹底の呼びかけなどに取り組んだところです。さらに、県内両空港における抗原定性検査キットの配布や、山形駅東西自由通路での無料の抗原定性検査所の臨時設置などにより、連休期間中の陽性者の早期発見にも努めたところです。

 現在、本県の病床使用率は10%台で推移し、直ちに医療提供体制がひっ迫するおそれは少ない状況にあります。一方で、新規感染者数は、最近ようやく2ケタ台の日が見られるようになったものの、依然として収束までには至らない状況であります。
 このため、少しでも新規感染者数を減らし、医療提供体制がひっ迫するリスクを下げることが重要でありますので、引き続き、最大限の警戒をしながら、可能な限り日常生活を取り戻す取組みを継続してまいります。

(新型コロナワクチン接種)

 次に、新型コロナワクチン接種の状況について申し上げます。
 県内のワクチン接種につきましては、市町村の御努力もあり、全年代の3回目接種は直近の値が67.0%で全国第3位と、進捗が図られております。引き続き若い世代のワクチン接種の促進を図るとともに、今後、高齢者や基礎疾患を有する方への4回目接種も順次始まっていきますので、各年代とも希望される方が適時適切に接種していただけるよう、市町村や関係機関と連携しながら、円滑な接種に向けた取組みを進めてまいります。

 

(山形県新型コロナ対策認証制度)

 次に、山形県新型コロナ対策認証制度の取組状況について申し上げます。
 認証制度につきましては、令和3年4月26日から開始し、1年が経過しました。5月31日までに4,081件を認証しております。
 県内全域で認証店の皆様が感染防止対策に努力いただいていることや、利用される方々の意識も高まったことなどにより、飲食店における感染拡大防止に効果が上がっているものと考えております。引き続き市町村や関係団体と連携し、認証店のメリットの周知を図りながら、できる限り多くの飲食店等の認証取得を促進してまいります。
 また、認証基準の遵守と認証制度の実効性を確保するため、今年度は、既に認証を受けている店舗に対し、認証基準が維持されているかどうかを確認する「再確認調査」を実施し、感染防止対策に「緩み」が生じないように努めてまいります。

(経済活動の持続と回復に向けた取組み)

 次に、経済活動の持続と回復に向けた取組みについて申し上げます。
 事業者の事業継続に向けた取組みとしましては、政府による「事業復活支援金」について、商工団体等に加入していない個人事業者等も漏れなく受給していただけるよう、県行政書士会と連携したサポート窓口を4総合支庁に設置し、制度概要の説明からID取得、オンライン申請まで一貫したサポートを行ってきたところであり、5月31日現在で5,277件の支援を行ったところです。
 資金繰りの面におきましても、県商工業振興資金に既往債務の借り換えや事業再生・再構築に向けた新たな融資メニューを追加し、引き続き中小企業者の事業継続を後押ししております。
 また、ポストコロナに向けた対応を加速するため、「山形県中小企業パワーアップ補助金」のうち、新分野展開や事業・業種転換などの取組みを支援する新たなメニューについて、247件の応募があったところです。今後も、ポストコロナに向けた事業者のチャレンジを支援してまいります。
 あわせまして、市町村と連携した地域消費の喚起にも取り組んでいるところであり、これまで6月1日現在で、県の支援を受けて、山形市をはじめ8市町村が消費喚起キャンペーンを開始しております。

 観光分野につきましては、観光需要の回復に向けて「やまがた春旅キャンペーン」を展開し、5月31日現在で約12万5千人泊分を支援してきております。さらに、6月1日からは名称を「やまがた夏旅キャンペーン」と変更のうえ、利用期間を6月30日まで延長して、切れ目なく支援しているところです。
 県としましては、県民の皆様の命と暮らしを守るため、感染防止対策の徹底や保健・医療提供体制の確保に努めながら、経済回復に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 今後とも、県議会の皆様はじめ、県民の皆様、事業者の皆様、市町村と一丸となって、全力でこの難局を乗り越えてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

次に、「カーボンニュートラルやまがた県民運動」について申し上げます。

 近年、地球温暖化による気候変動の影響と考えられる異常気象やこれに伴う災害が頻発し、気候変動対策は待ったなしの状況です。
 こうした中、県では、令和2年8月、2050年に二酸化炭素実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンやまがた2050」を宣言し、令和4年2月には、県民・事業者・行政が今後主体的に行う取組みを「カーボンニュートラルやまがたアクションプラン」として取りまとめました。
 今年度は、このアクションプランに基づき、「豊かで美しい山形県」を将来の世代に継承していくため、身近で、できることから、 カーボンニュートラルに向けたアクションにチャレンジする新たな県民運動「みんなの地球のためにチャレンジ!カーボンニュート ラルやまがた県民運動」を展開してまいります。
 県民運動を推進する母体として、県、市町村、関係団体など約180団体からなる「カーボンニュートラルやまがた県民運動推進会議」を立ち上げ、5月31日には、キックオフとして「カーボンニュートラルやまがた県民運動推進大会」を開催したところです。
 今後、標語・ポスターコンテストや出前講座等による普及啓発のほか、省エネ家電買換えキャンペーンの実施など、構成団体と連携・協働し、機運醸成を図る取組みを展開してまいります。
 将来にわたり持続可能な山形県を創るため、県民一人ひとりが、環境問題を自分ごととして捉え、県民総ぐるみの運動となるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 

次に、「やまがた紅王」の先行販売について申し上げます。

 「やまがた紅王」につきましては、さくらんぼを代表する「佐藤錦」「紅秀峰」に続くブランド品種として育てるため、令和5年の本格デビューに向け、関係者の皆様とともに取組みを進めてまいりました。
 平成30年秋から苗木の供給を開始し、現在、登録生産者数は、約2,400経営体、約2万6千本の苗木が作付けされております。また、昨年6月には、「ロゴマーク」を決定いたしました。
 今年は、来年の本格デビューに先立ち、「やまがた紅王」の果実の大きさや美味しさを知っていただき、県内外での認知度を高めるため、今月23日から先行販売を行い、6トン程度の出荷量を見込んでいるところです。
 明日3日には、山形市内において「さくらんぼキックオフイベント」を行うほか、先行販売日にあわせて県内会場において、7月1日には首都圏会場において、それぞれプレス向けイベントを行い、「やまがた紅王」を全国に発信してまいります。
 今後とも、関係者一体となって、「やまがた紅王」の早期のブランド確立を目指すとともに、本県さくらんぼの更なる評価向上に向けた取組みを進めてまいります。

議案の概要

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

 提案いたしました議案は、令和4年度山形県一般会計補正予算(第1号)など、18件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

 今回の補正予算は、コロナ禍において原油価格・物価高騰の影響が出ている中、厳しい環境に置かれる県民の皆様や中小企業者・農林水産事業者などに対する支援を盛り込むほか、引き続きコロナ対策を拡充するなど、本県が直面する様々な課題へ対応するため、編成したものであります。

 第1に、「コロナ禍における原油価格・物価高騰等への対応」であります。
 まず、産業支援としまして、新型コロナの長期化で売上げが減少していることに加え、今般の原油価格・物価高騰によるコスト上昇により経営が圧迫されている事業者への緊急支援給付金として、法人10万円、個人事業主には5万円を支援するほか、原油価格の高騰による厳しい経営状況を踏まえ、運送事業者、バス・タクシー事業者へ支援いたします。
 また、漁業者や畜産農家、きのこ生産者に対し、飼料・燃油・資材等の価格高騰分を支援するとともに、生産資材の価格高騰で厳しい経営状況に直面している施設園芸農業者が行う野菜・花き用ハウスの再整備を支援いたします。
 次に、生活支援としまして、低所得の子育て世帯に対し、生活支援特別給付金を支給するとともに、生活困窮世帯及び県内外の学生に対する食の支援として、県産はえぬきを提供いたします。
 また、県産水産物を学校給食で無償提供し、原材料費の高騰による食材調達を支援するほか、給食を実施している特別支援学校等において、原材料費が高騰する中で、これまでどおりの栄養バランスや量を保った学校給食が実施できるよう支援いたします。
 さらに、市町村が取り組む消費喚起に向けたプレミアム商品券等発行事業への支援を拡充し、物価高騰等の影響を受ける地域経済の回復を図ってまいります。

 第2に、ウィズコロナ・ポストコロナへの対応としまして、政府における訪日外国人観光客の受入再開に向けた方針を踏まえ、秋冬季における国際チャーター便の受入を支援するほか、オンライン商談会への参加やEコマースなど、県内小規模事業者等が取り組む販路拡大等を支援いたします。

 第3に、新型コロナウイルス感染症への対応としまして、コロナ禍における医療機関等の医療提供体制やPCR検査体制の整備支援を行うほか、県内4地域におけるバスを活用したワクチン巡回接種、高校部活動の県外遠征参加者等に係る抗原定性検査キットの配布を行ってまいります。

 その他、喫緊の課題への対応としまして、当初予算編成後の国庫補助事業の活用見通しを踏まえ、農業者の機器整備や自然公園の施設設備に対し支援するなど、予算を増額いたします。

 この結果、今回の一般会計補正予算総額は、53億6,000万円となり、今年度の累計予算額は、6,901億6,400万円となります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

 山形県県税条例の一部を改正する条例の制定につきましては、地方税等の一部改正に伴い、住宅借入金等特別税額控除の適用期限や不動産取得に係る納税義務発生申告書の提出期限の見直し等を行うためのもの、山形県民生委員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定につきましては、世帯数の変動等に伴い、民生委員の定数を変更するためのものであります。
 令和3年度山形県一般会計補正予算(第11号)及び山形県県税条例等の一部を改正する条例の設定についての2件の専決処分の承認につきましては、いずれも急施を要したため専決処分をいたしましたので、その御承認をお願いするものであります。
 山形県公安委員会委員の任命、山形県人事委員会委員の選任につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

 

 以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

 

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