ホーム > 県政情報 > 知事室 > 県議会での知事説明 > 県議会知事説明要旨2025年 > 6月定例会(令和7年6月12日)
更新日:2025年6月12日
ここから本文です。
県議会6月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。
本県を取り巻く情勢は、人口減少の加速や自然災害の頻発・激甚化、物価高騰の長期化などへの対応が求められるなど、行政ニーズがこれまで以上に複雑・高度化、多様化しております。
また、洋上風力発電事業や山形新幹線米沢トンネル(仮称)の整備、空港滑走路の延長など、政府や関係機関と連携して取り組む必要のある重要事業も多くなってきている状況にあります。
このような社会情勢の変化に伴う様々な行政課題に的確に対応していくためには、知事を補佐する体制を強化する必要があると考え、副知事を二人体制とすることとし、そのため副知事の定数条例の改正案を今定例会に提案したところであります。
世界規模で4年に一度開催される、聴覚障がい者のための総合スポーツ競技大会であるデフリンピックが、11月15日から26日までの12日間、日本において初めて東京で開催されます。
この東京2025デフリンピックにおきまして、陸上競技の齋藤丞選手が日本代表に内定しており、今後も追加の代表内定が期待されるところであります。
世界の檜舞台での本県出身選手の活躍を県民の皆様とともに心から期待しております。
本年2月に名称を募集した水稲新品種「山形142号」につきましては、県内の小中学生を中心に、県内外から3千件を超える応募をいただいた中から「ゆきまんてん」に決定いたしました。
この品種の白く、大粒で、美味しいという特徴をよく表しており、何より皆さんが笑顔になれるような、明るい素敵な名前を考えていただいたと思っております。
今年度は、栽培マニュアルを作成するため、県内各地で栽培試験を行うとともに、令和9年のデビューに向けて、生産・流通販売等の関係者から御意見を伺いながら、品種の位置付けや今後の作付方針、販売戦略などの振興方針を検討してまいります。
次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。
我が国の経済につきましては、米国の通商政策等による不透明感がみられますが、緩やかに回復しております。
本県の状況についてみますと、個人消費につきましては、食料品をはじめとする物価高を背景とした節約志向がみられますが、底堅い動きとなっております。鉱工業生産は、製造業の業況判断が悪化していることなどにより、弱い動きが続いております。雇用は、あらゆる産業分野で人手不足が続いており、有効求人倍率は高い水準で推移しております。
このように、本県経済につきましては、緩やかに持ち直しておりますが、弱含みの動きが続いているところです。
今後の先行きにつきましては、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクや、国内における物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響などが懸念されることから、引き続き国内外の情勢や県民生活・企業活動への影響について注視してまいります。
今年の4月、5月は、降水量が多く、日照時間も平年より少なく推移しましたが、これまでのところ、各農作物の管理作業は、順調に行われております。
水稲につきましては、「つや姫」、「雪若丸」、「はえぬき」の主力3品種ともに、概ね平年並みの生育となっており、順調なスタートを切ったところです。
さくらんぼにつきましては、県作柄調査委員会において、収穫量を平年より少ない9,100から10,200トン程度と見込んでおります。主力品種の「佐藤錦」は、収穫が始まっており、今週末に最盛期を迎えるところであり、「やまがた紅王」については6月20日頃から、「紅秀峰」については6月23日頃から収穫が本格化する見込みです。現在、色づきが良く品質の高い果実の生産・出荷に向け、関係機関・団体と連携して、適切な着色管理や高温対策、適期収穫に取り組んでいるところです。
また、露地栽培のすいかやメロンにつきましては、現在、果実の肥大期を迎えており、7月中旬からの出荷を見込んでいます。
引き続き、農作物の生育状況の的確な把握に努め、気象の変動に迅速に対応しながら、適切な栽培指導を行ってまいります。
本年5月1日現在の本県人口は99万9,378人となり、大正14年以降、約100年ぶりに100万人を下回りました。
人口の減少により、担い手不足や産業競争力、地域活力の低下など、様々な分野に影響が及んでいくことが懸念される一方で、大きな情勢の変化は、新たな発想や技術等が生まれる好機にもなり得ると考えております。これまで人口減少が進む中にありましても、生産性の向上や外国人材の活用など、各界の皆様の御努力もあり、実質県内総生産額や一人当たり県民所得は増加している状況にあります。人口減少の中にあっても、決して後ろ向きにならず、各界、市町村、県民の皆様と一緒になって、「県民のウェルビーイングの実現」と「持続可能な明るい山形県の未来」に向け、積極果敢に取り組んでいくことが重要と考えております。
そこで、6月3日に、産業・教育・金融・労働・言論・行政などの各界の皆様と一堂に会して協議を行う第1回「やまがた未来共創会議」を開催いたしました。
会議では、人口減少の状況を共有するとともに、各界の皆様から、「女性が働きがいを感じられる職場づくり」や「男女ともに共働きしながらワークライフバランスが実現できる職場環境の整備」など、人口減少の中で工夫していることや新たなチャレンジについて前向きな発言をいただいたところです。
あわせて、県民の皆様と私が直接対話を行う「『県民まんなか』みらい共創カフェ」を新たに開催することとしており、6月6日に第1回目を開催いたしました。今後も順次、若者・女性をはじめ、こどもから高齢者の方まで、各年齢層の方々と、それぞれが望む「明るい山形県の未来」やその希望を実現するためのアクションなどについて対話を重ねてまいります。
今後とも、未来に明るい展望を抱くことができる山形県を目指し、各界や市町村、県民の皆様と共に、全力で取り組んでまいります。
今年は、本県でさくらんぼや西洋なしなどの果樹栽培が始まってから150年の記念すべき節目、「やまがたフルーツ150周年」であります。この大切な節目を好機と捉え、県内でのイベント開催や全国に向けた情報発信などにより、山形県のフルーツの魅力を発信し、本県の果樹産業全体の発展につなげるとともに、県内外からの観光誘客の促進を図ってまいります。
6月6日から7日には、フルーツ150周年とさくらんぼシーズンの到来を祝う「さくらんぼメモリアルフェスタ」を文翔館で開催し、「さくらんぼ」をはじめとした県産フルーツの魅力を広く発信しました。
また、8月9日から10日には、山形ビッグウイングにおいて、「やまがたフルーツEXPO」を開催するほか、学校給食での「やまがた紅王」の提供や、飲食店でのスイーツキャンペーン、県立博物館でのさくらんぼ企画展の実施、また、県外においては、大阪・関西万博や東京都内のマルシェでのさくらんぼ等の販売、全国のJR主要駅等へのポスターの掲出などを予定しております。
多くの方々に本県へ訪れていただけるようフルーツ王国やまがたのPRを積極的に行うとともに、やまがたフルーツのブランド力をより一層高めてまいります。
さくらんぼからスタートして、メロンやすいか、桃、すもも、ぶどう、なし、柿、りんごまで、シーズンを通して、やまがたフルーツファンの拡大と関係人口・交流人口の創出を目指すとともに、その盛り上がりを本県果樹産業の振興につなげてまいります。
5月21日から25日までの5日間、米国ハワイ州を訪問し、県産米「つや姫」のトップブランド米としての定着・販路拡大、本県のさらなる認知度向上及びハワイ州との一層の相互交流の促進に向けたトップセールスを行ってまいりました。
今回の訪問では、在ホノルル日本国総領事公邸において、現地輸入バイヤーやレストラン関係者、現地旅行会社など、約100名をお招きして、「つや姫海をわたる」10周年記念レセプションを開催し、「つや姫」や総称山形牛など、県産農産物等の美味しさや、本県の自然・文化の豊かさをPRしてまいりました。
また、ホノルル市内の短期大学を訪問し、調理学科の学生の皆さんへ「つや姫」や県産酒などを紹介し、食を起点とする相互交流の促進を働きかけてまいりました。本県の農業や食に高い関心を持って学ぼうとする学生達に、今後の相互交流の拡大につながる手ごたえを得たところです。今回の交流で、「つや姫」の輸出が、現地でのトップブランド米としての販売にとどまらず、本県とハワイ州を結び付ける契機になったことは、大きな成果と考えております。
さらに、有名レストランである「ロイズレストラン」のオーナーシェフであるロイ・ヤマグチ氏をはじめ、現地輸入バイヤーやハワイ州で活躍中の6名の皆様に「やまがた特命観光・つや姫大使」を委嘱してまいりました。今後、本県の魅力発信に強力なお力添えをいただけるものと考えております。
加えて、現地の旅行会社を訪問し、本県へのインバウンド誘客促進を働きかけ、商品造成に意欲的な発言をいただきました。現在、具体的な旅行商品の造成に向けて調整を進めております。
このたびの訪問を契機に、さらなる県産農産物等の輸出拡大やインバウンドの拡大など、本県とハワイ州との相互交流の促進に努めてまいります。
ちなみに、今回、ホノルル市内の短期大学を訪問した際にお会いした教員や学生を含む15名の皆さんが、6月4日から10日まで来県してくれました。山形で再会できたことは大変喜ばしく、人的ネットワークを活かした今後の交流の可能性を感じたところであります。
米国が発動した関税措置により、日本から米国への輸出には、自動車など特定の品目に対する追加関税と、追加関税対象品目等を除く全ての品目に対する相互関税が賦課されており、県内経済への悪影響が懸念されるところです。
県では、4月4日に、産業労働部内に「米国自動車関税措置等に伴う特別金融相談窓口」を設置し、事業者の方々からの相談に応じるとともに、4月下旬には、県内企業の状況を把握するためのアンケート調査を実施したところです。その結果、約4割の企業から「今後の見込みを含めて影響がある」との回答があり、また、「先行きに不安を感じている」といった企業も約7割にのぼっております。
県としましては、引き続き、米国の関税措置の対象や政府の交渉の状況等を注視するとともに、県内企業などから丁寧にお話をお聞きしながら、低利の融資制度や設備導入への支援制度などを活用し、必要な支援に取り組んでまいります。また、今後の県内企業への影響の状況に応じて、適時適切な支援策を検討してまいります。
提案いたしました議案は、令和7年度山形県一般会計補正予算(第1号)など、26件であります。
今回の補正予算案につきましては、県立高等学校の新校舎の整備や、高校生等の授業料負担の軽減に向けた国庫補助制度の拡充への対応をはじめ、本県が直面する様々な課題に対応するため編成したものであります。
はじめに、県立高等学校の新校舎の整備につきましては、新庄北高等学校と新庄南高等学校を統合し、令和8年度に開校を予定している新庄志誠館高等学校について、新庄市中心部にある現在の新庄南高等学校敷地内への新校舎の整備に向けて、基本設計及び実施設計に取り組むものであります。
次に、高校生等の授業料負担の軽減に向けた国庫補助制度の拡充への対応としましては、高校生等の授業料負担の軽減を図るための政府の支援制度において、事実上所得制限が撤廃され、対象が全世帯に拡大されたことから、政府の予算措置を踏まえ、授業料の負担軽減策の拡充を図るものであります。
その他諸課題への対応としまして、政府の予算を活用し、畜産経営体による収益力強化に向けた畜舎整備への支援、農業者団体等に対する水稲乾燥調製施設等の共同利用施設の合理化への支援や、航空防除等に利用するスマート農業機械等導入への支援などを実施いたします。
この結果、今回の一般会計補正予算案の総額は、11億300万円となり、今年度の累計予算額は、6,765億2,200万円となります。
流域下水道事業会計の補正予算案につきましては、令和7年1月に埼玉県で発生した道路陥没事故を受け、大口径で古い下水道管路を対象とした全国調査に対応した調査を実施するものであります。
山形県副知事定数条例の一部を改正する条例の制定につきましては、副知事の定数を2人にするためのもの、山形県県税条例の一部を改正する条例の制定につきましては、地方税法の一部改正に伴い、個人県民税について特定親族を有する者を所得控除の適用対象とする等のためのものであります。
令和6年度山形県一般会計補正予算(第8号)及び山形県県税条例等の一部を改正する条例の設定についての2件の専決処分の承認につきましては、いずれも急施を要したため専決処分をいたしましたので、その御承認をお願いするものであります。
山形県公安委員会委員の任命、山形県人事委員会委員の選任につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要ですが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。
お問い合わせ